変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

カテゴリ:企業応援 > マーケティング・営業

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本日、萩インキュベーションセンターにて「はぎビズ」が開設されました。萩市が中小企業やスタートアップ企業向けに無料で経営に関する相談を受け付け、売上アップをサポートする仕組みです。

センター長に化粧品業界のブランドマネージャーなどを経験した獅子野さんを迎え、販路開拓や新商品・サービス開発を中心にサポートします。予約をすれば1時間の相談が受けられ、そのあとも何度でも申し込みが可能です。すなわち単発の相談で終わるのではなく、継続的にサポートが受けられるのが特徴です。

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「はびビズ」は静岡県富士市の「f-Biz」をモデルとしています。自治体が経営の専門家を集め、すべて無料で相談を受け付けています。すでに同じモデルを活用した〇-Bizは、大阪府大東市や長崎県壱岐市など全国に20か所以上もあります。

これまで自治体の中小企業支援策というと、補助金など直接的に金銭補助をするものがメインでしたが、こうした情報提供を主体的に行うのは画期的です。実際、地方に住んでみると東京などの大都市に比べ情報が圧倒的に不足しているということを肌で感じられます。資金的な援助よりも行動につながりやすい「知恵」の提供の方がニーズが多いということの表れなのではないかと思います。

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地方には豊かな自然や、歴史ある建造物などまだまだ眠っている資源がいっぱいあります。そこに「知恵」が注入されることにより新しいビジネスが生まれ、面白いことが始まる予感がしています。

萩市ビジネスチャレンジサポートセンター・はぎビズ
https://www.city.hagi.lg.jp/soshiki/49/h28853.html

富士市産業支援センターf-biz
http://f-biz.jp/



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夕方の地方ニュースを見ていたら、萩市の明倫学舎という観光施設で、マンホールカードが配布されるという話題が流れていました。マンホールカードというのは、下水道への理解・関心を高める目的で、下水道工法プラットフォームが発行するゲームカードのようなものです。全国のマンホールの絵柄が印刷され、現在累計502自治体、605種が存在します。

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ご当地でこうしたカードを配布することで、カードを目的に観光客が来訪することが期待されます。そのターゲットはすなわちこうしたものを集めたがる収集癖のある人ということになります。収集癖をもった人には「さみしさを紛らわしたい」「人より優越感を味わいたい」といった複雑な心理があるとも言われています。

であるとすると、カードを入手するという目的が達せられるとすぐに帰ってしまうという可能性も大いに考えられます。かつて流行ったビックリマンチョコで、カードを手に入れられたらチョコレートを捨ててしまう子どもが現れ社会問題となったのと同じです。

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ならば、その地で見られるマンホールの種類を増やしてしまうのが得策です。たとえば、夏みかんが一つ多いレアマンホールを萩市内のどこかに設置すれば、それを探すために街中を回遊してくれるでしょう。

マンホールをうまく使って街おこしをしているのは、静岡県の沼津市です。沼津市はアニメ「ラブライブ」の舞台となっており、9人のキャラクターと校章や全員集合した絵柄など計11種類のマンホールが街中にちりばめられています。しかも、4か月に1回ずつカラーマンホールになるキャラクターが入れ替わり何度も来訪したくなる仕掛けになっています。

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何かのファンというものは収集癖が強く、それを飽きさせない仕掛けがあってさらにファンが育っていくものです。ファンを飽きさせないようにするには常に種類やシリーズを増やしていくのことが求められます。

マンホールカード(下水道広報プラットフォーム)
http://www.gk-p.jp/activity/mc/

ラブライブ!サンシャイン!!マンホール(沼津市)
https://www.city.numazu.shizuoka.jp/kurashi/sumai/gesui/topics/h30/secchi.pdf

dental

少し歯が痛くなったといって歯医者へ行くと、初日はレントゲンをとってちょっと歯を削る。次の回はさらに削ってセメントで埋める・・などといって何回も歯医者に通うことになります。で、治療が終わったら、「親知らずがありますが抜きますか?」「歯石を取りますか?」と別の場所の治療も勧めてきます。

歯医者にとって患者さんが大事なお客様であることを考えると、これは非常に大事なマーケティング施策であるといえます。同じ患者さんが歯の悩みについて必ず自分のクリニックに相談をしてくれるようになればいわゆる生涯価値(LTV)が上がり、大きな収益を上げることができるからです。

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最近では、「デンタルテック」とよばれるハイテクノロジーも駆使して、顧客(患者)の獲得、つなぎ止めを図ろうとする動きもあるようです。

大阪のスタートアップ企業ノーブナインが開発した「スマッシュ」という歯ブラシは、センサーで「メチルカプタン」や硫化水素を検知して歯周病があるかを調べることができます。このデータをスマホで確認できるようにして歯科医に相談するきっかけをつくろうというのが狙いです。

ノーブナイン社は月額980円で小児の歯の相談がいつでも受けられる「ブラシる」や、オーラルケアのプロが選んだ歯ブラシを定期配送するといったサブスクリプションモデルのサービスを既に提供しています。

もしかすると「スマッシュ」を利用して歯周病治療や予防のサブスクリプションサービスを開始することも視野にあるのかもしれません。

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さて、最近よく耳にする「サブスクリプション」ですが、ニック・メータ、ダン・スタインマン、リンカーン・マーフィーらの著書によれば、顧客の成功すなわち「カスタマーサクセス」を第一に考えてマーケティング施策を実施することが最も大事であるとされています。

実はこの「スマッシュ」という歯ブラシ、一台5,000円~8,000円とハイテク機器にしては割安です。歯ブラシそのものを売るのではなく、スマホでの歯の状態管理や相談によって「顧客の歯を健康に保つ」ということを提供価値にして収益を得ようとしていることが、このことからも読み取れます。

日本経済新聞 2019年5月6日(月)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44265690W9A420C1FFR000/ 

参考図書
ニック・メータ、ダン・スタインマイン、リンカーン・マーフィ著
バーチャクレス・コンサルティング 訳
「カスタマーサクセス ~サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則」(英治出版)
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2260

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うちの伯母は、すでに還暦を超え一人暮らし。テレビなど家電が壊れたら街の電気屋に来てもらって修理してもらうか、買い替えるかするそうです。私はどちらかというと量販店に行ってしまうため、あまり電気屋さんを利用したことがありませんが一人暮らしの高齢者にとっては大切な存在なのかもしれません。

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と、ここのところ高齢者向けサービスのお話ばかりしてきましたが、若者向け(?)の家電サービスとして、アプリをダウンロードして個人情報を入力するだけで、家電が故障したときに10万円分まで無料で取り換えてくれるサービスがあるそうです。

このサービスを提供するのは大阪市に本社のある「ワランティ」。このほど日立アプライアンスと提携し、アプライアンス社に個人情報を提供する代わりにその対価で保険に加入し、ユーザの家電が故障したときに新品をアプライアンス社から購入するというビジネスモデルだそうです。

アプライアンス社としては個人情報を得てマーケティングに活用できるほか、ユーザの家電が故障すると自社の製品を使用してもらう新規ユーザを獲得することができるメリットがあります。おそらく予め得た個人情報をもとにさらなる購買につなげるようセールスをかけていくものと考えられます。

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国内では人口が減少し、家電業界も新規顧客獲得が簡単ではなくなってきていると考えられ、サブスクリプションモデルなどで既存顧客を囲い込む動きも強まってきています。ワランティが提供するアプリは「故障」という買い替えニーズを的確にとらえ、その後の継続購買にもつなげられるという点で、強力なマーケティングツールであるといえます。

日本経済新聞 2019年2月4日(月)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40783320R00C19A2FFR000/ 

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最近コンビニ業界では焼き鳥や唐揚げなど酒のつまみ系のメニューが充実してきた半面、アイスクリームや中華まんといったおやつ系のメニューが減ってきていて、おっさん化しているような気がするのは私だけでしょうか。

いえ、統計上もそのようになっているようです。
日本フランチャイズチェーン協会が発表した18年のコンビニの売上高(大手7社の既存店)は9兆7244億円と前年を0.6%上回ったものの、客数は157億円673万人で前年割れ。さらに11年から17年の間に60代以上の割合が11%から19%に伸びた一方、20代の割合は23%から14%まで下落したそうです。

この間の国内総人口に占める60代以上の割合の伸びは32%から34%であることを考えると、高齢化が進行していることが伺えます。このまま若者離れが進むといずれ客数が減少していき、コンビニエンスストアという業態は衰退、ネット通販やその他の業態がそれにとってかわられるという可能性もあります。

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このように小売業の新陳代謝を説明しするモデルとして、Malcolm P.McNairが提唱した「小売りの輪理論」というものが有名です。新しい小売業態は低コスト・低価格販売で参入し既存業態から市場を奪うことで成長、やがて同様の業態が増えてくると差別化するために高コスト・高付加価値化の路線を進む、すると再び別の低コスト・低価格販売の業態が現れ市場を奪っていく、というものです。

しかし、コンビニエンスストアは参入した当初から定価販売であり、このモデルはどうも当てはまりそうにありません。

私は、ここに日本特有の小売りの循環理論があるのではと思っています。
日本では少子高齢化の進行が早くかつベビーブームの影響ですでに高齢者の割合が多くなっています。高齢者向けの商品やサービスの方が儲かるため、その分若者向けの商品、サービスが少なくなり若者離れが起きる。しかし、ターゲットとしていた高齢者が自然減で減っていくと衰退して、若者向けに販売を行っていた小売業者に取って変わられる・・・・

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最近では、CRMやらサブスクリプションモデルといった既存客を大事にする考え方がもてはやされていますが、やはり新規獲得、とくに若者を取り込んでいく努力も決して忘れてはいけないということですね。

日本経済新聞 1月22日(火)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40291050R20C19A1TJ2000/ 

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