変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

カテゴリ:企業応援 > ひと・組織

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3月は、古民家のリノベーションに2回ほど参加してきました。私には左官や大工の心得はないにもかかわらず、見よう見まねでなんとかこなしてきました。いわゆるDIYにボランティアで参加してきた形です。

2回とも近隣に住む家族や学生、さまざまな人が集まってきて壁塗りや床の張替えに参加していました。潤沢な資金や人材といった資源に乏しい地方のリノベーションにおいてはこうしたボランティアによるDIYがよく行われます。

ボランティア活動においては特に報酬が出るわけでもないのに、多くの人が参加してなおかつ統率がみだれることなく作業も進んでいくのはなぜなのでしょうか。

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アメリカの行動学者ハーシーとブランチャードはリーダーシップのあり方としてSL理論というものを打ち立て、フォロワーの状態によって最適なリーダーの行動が異なることを唱えました。SL理論によれば、場合によってはフォロワーの自主性に任せあえてリーダーは何もしないということもあり得ます。しかし、それはフォロワーの能力が極めて高い場合において成立するとされ、専門性の低い人たちが集まるボランティア活動では当てはまりません。

一方で、ボランティア活動が成立するには次の4つの原則があるということが、最近提唱されるようになりました。

「自主性・主体性」・・・誰かに強制されることなく自ら進んで参加すること
「社会性・連帯性」・・・課題に対して協力し合い解決にあたること
「創造性・開拓性」・・・課題に対して自由な発想でしくみを創りだしていくこと
「無償性・無給性」・・・報酬を求めないこと

活動が有償で実施される場合は、報酬が自主性や主体性を呼び起こす動機ともなりえます。しかし無償の場合は、報酬ではなくそれ以上に強い共通の課題認識が動機となっていると考えられます。

リノベーションでDIYに多くの人が参加するのは、地域の人口が減り賑わいを取り戻さなければならないという課題意識が共通認識としてあるからです。

そしてフォロワーの能力は「社会性・連帯性」による協力体制と「創造性・開拓性」によるイノベーションによって補われ、自主的な活動が成立します。

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近年では時代の変化が速くなり、有償・無償を問わず「創造性・開拓性」が求められる課題が多くなっています。次世代のリーダーに求められるのは報酬による動機付けよりも、課題設定を明確にし「社会性・連帯性」「創造性・開拓性」を発揮できる土壌を作り上げ、「自主性・主体性」を呼び起こすことなのではないでしょうか。

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このところ飲食店やコンビニへ行くと、外国人が応対してくれることが多くなりました。と、いうより外国人しか見かけなくなったといった方が正確かもしれません。日本の人手不足もここまで来たかと考えさせられるものがあります。

4月に改正された出入国管理法では、日本語の試験に受かるなどすれば外食や宿泊などの業種で5年在留が可能なビザが与えられるなど、今後外国人が日本で働くケースはますます増えてくると予想されています。

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そのような状況でこの日経新聞の見出しは少し気がかりです。外国人の就労が増えているのであれば労災事故の件数自体も増えるのは数字上仕方のないことなのかもしれません。しかし、その中でも技能実習生の割合が過去最多を更新し続けているという事実は問題のように感じます。

厳しい労働環境で働く技能実習生の問題は、報道などでよく耳にするところです。しかし、現在の入管法では入国1年目の技能実習生であったとしても、日本人と同じ労働基準法など労働関係法に基づいた労働契約を結ぶことが義務付けられています。

それでも技能実習生の劣悪な労働環境が改善されないのはなぜなのでしょうか。

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そのひとつとして憲法第22条1項が定める「職業選択の自由」が外国人に対しては制限されていることが挙げられます。日本国憲法では第22条2項で「出国の自由」は保障しているものの入国の自由は保障されないとされています。入国に関しては、法務局の判断によって就労など国内に在留する条件を制限することができる、という過去の判例があるためです。

職業を自由に選ぶことができないとなると、仮にたとえ違法で劣悪な環境で働かされていたとしても、裁判などで違法性を訴えるのはかなりの労力がいります。そのためこのまま日本に在留し続けようと思えば結局は劣悪な労働環境を受け入れざるを得なくなるのが現実なのではないでしょうか。

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近年、憲法改正を訴える政治家や政党が増えてきていますが、外国人の人権については論点に挙げられていません。日本の人口が減って労働力の確保が喫緊の課題なのだとすると、外国人をどのように受け入れて彼らの人権をどう守るかも早々に議論しなければならないことの一つなのではないかと思います。

日本国憲法
第22条第1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
   第2項 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

日本経済新聞 2019年5月19日(日)付朝刊より
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44990510Y9A510C1CZ8000/

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高齢化、共働きや単身世代などの増加により都市部でもなかなか日々の買い物がままならないという人が増えているのか、最近スーパーマーケットで「買物代行サービス」なるサービスを見かけます。ネットで買いたいものを指定して、スタッフが買い物をして届けてくれるというサービスです。

スタッフはサービス事業者の社員というわけではなく、近所に住んでいる人が時間に余裕があるときに買い物を代行して行ってくれるという形態のところが多いようです。このようなサービス形態を「クラウドソーシング」などと呼び、いわゆるシェアエコノミーの一つであるとされています。

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この買物代行サービスを世界展開しているのが、シンガポールのベンチャー企業「オネストビー」です。オネストビーでは、買い物をするスタッフ(ショッパーbee)と配達をするスタッフ(デリバリーbee)で役割分担し、依頼者の細かい要望に応えたり、2つ以上の店舗をはしごして買い物をしてもらったりすることができます。

配達してくれる商品は、飲食店のお料理や生鮮食品が主なものですが、最近では百貨店とも提携してデパ地下の食材や、菓子・酒類といったものの買い物も代行してくれます。このたび小田急百貨店の新宿店もオネストビーと提携し、新宿店の商品が首都圏の指定エリアなら当日配達とのことです。

オネストビーはさらに今年「ネーションワイド」というサービスを立ち上げ、配送業者の配送網を利用して沖縄・離島を除く全国に買い物したものを配達するサービスも開始しました。これにより百貨店へのアクセスがあまりよくない地方においても、デパ地下の逸品をお取り寄せできることになります。

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ところで、小田急百貨店はこれとは別にECサイトを既に立ち上げています。ただ、実店舗とECサイトの両方を運営する場合、在庫の連動などオペレーション上の問題が生じます。オネストビーとの提携には、オンライン経由の注文に応じて専門のスタッフが「買物を代行」してくれることにより、実店舗だけに在庫を確保しておけばよいというメリットもありそうです。

空き時間を利用した「買物代行」というスタイルは、買い物難民や配達員の不足の問題をも解決し、Eコマースの世界にも風穴を開けそうな予感がします。

流通ニュース 2018年12月12日(水)付 より
https://www.ryutsuu.biz/ec/k121218.html 

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私は渋谷の職場から自宅に帰るとき、地下鉄半蔵門線を利用します。半蔵門線は東武線に乗り入れており3本に1本くらいの割合で「久喜行き」という埼玉県の郊外まで行く列車がやってきます。寝過ごしたらそこまで連れて行かれるのかと考えながらも、一回そのまま行ってみたい衝動に駆られたりもします。

埼玉県久喜市は電車で都内まで1時間~1時間半くらいの距離でベッドタウンとして団塊世代を取り込んできました。しかしこの世代も現在は引退。その影響を受け、1人当たり所得が2011年から16年の間に5万4,000円も減ったことが日本経済新聞の調査によって分かりました。同様の傾向は東京郊外の他の路線の終着駅である茨城県取手市、東京都青梅市などでもみられるとのことです。

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このような現象は、団塊世代の引退により地域内の生産人口(15歳~64歳)の減少によってもたらされたものと言えます。埼玉県久喜市はもともと生産人口の割合が高い地域で、市ではその維持を図るべく新たな産業の誘致にも努めています。

その一つが圏央道の整備といった好立地を生かした倉庫業などの流通加工業です。地域内の流通加工業の従業者数は2006年~2009年の3年間で5万人強増加し、新たな産業として重要な位置づけを占めていると考えられます。

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しかし、倉庫業・流通加工業の賃金は全産業の平均を下回っているとされ、通勤電車に乗って都心で仕事をしていた団塊世代の所得減少をカバーするには至っていないものと考えられます。ネット通販の普及などで増加しつつある流通加工業ですが、得られた利益が地域経済にも及ぶようになってほしいものです。

日本経済新聞 9月29日(土)付朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35902440Y8A920C1L83000/ 

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障害者雇用促進法が制定されたのは1960年の事。1976年には身体障害者の雇用のみが義務付けられ、その後1987年には精神障碍者の雇用も義務付けられるようになりました。近年は人手不足も相まって、事業主に義務付けられる障害者の雇用率も年々高まる傾向にあります。

一方で、戦後すぐに制定された旧優生保護法が改正されたのは1996年。近年までこの法律により強制不妊の手術を受けさせられていた障がい者の方がいたことには驚きを隠せません。今日、報じられた記事によれば改正の10年前の86年に旧厚生省内で、強制不妊の条項について「人道上問題がある」として改正を促す指摘があったのにも関わらず、すぐには実現しなかったことが明らかになりました。

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この法律を巡っては、今年に入り憲法が保障する「幸福追求権」などに違反するとして、強制不妊手術を受けた障がい者らが仙台地裁などで国を提訴する裁判を起こしています。障がい者であることを理由に強制的に不妊手術を受けさせられることは「法の下の平等」にも反すると考えられます。

もともとこの法律は、戦後の食糧難の時代に過剰な人口増加を抑制する目的に、人工妊娠中絶を合法化させるために成立したといわれています。それに加え、戦前当時から優勢であった優秀な子孫のみを残すことを是とする「優生思想」が組み込まれ、障がい者に対する強制不妊手術が法律として成立したものと考えられます。

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日本国憲法が制定されたのちにもこのような法律が成立し、その後も長い間憲法上の問題が争われることもなかったのは不思議なことです。なぜこのようなことになったのでしょうか。

ひとつにはこの法律が当時全会一致で成立したように「望まない」妊娠を回避する事に対して強い支持があったものと考えられます。それに加え、違憲審査の権利を持つ最高裁判所が違憲判断に消極的であるということがあります。事実、最高裁が法令に対して違憲判決を下したのは日本国憲法が成立して以来10件しかありません。

国の法律は国民から選ばれた代表が集まる国会で多数決で定められ、それが尊重されるのが原則ではありますが、一方で憲法が空文化され少数派の人権が侵されるようなことがあっては立憲主義国家とは言えません。

日本国憲法
第13条 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第14条1項 すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

日本経済新聞 9月24日(月)付 朝刊より
 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35685360T20C18A9CC1000/

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