変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

カテゴリ: 地域共生

瑠璃光寺

2024年も明けました。
だんだんこちらのBlogもまた頻度が下がってしまいよろしくないとおもいつつ、気の向いたときに更新していきたいと思います。

さて1月 初旬にNYタイムズの「2024年にいくべき52か所」に山口市が日本で唯一エントリーされました。このニュースは日本の各メディアからも全国ニュースとして取り上げられ、山口に住む人々にとって大きな驚きとして捉えられました。

国内でもこうしたランキングに乗ることはそう多くないので無理もありません。とくに観光に関わる人々は、これにどのように乗っかっていこうかと様々な意見が取り交わされています。

ただ、果たしてこれをきっかけに外国人観光客が急に増えるということがあるでしょうか?

私はその点については懐疑的です。
NYタイムズの有料購読者数は23年時点で1,000万人超と発表されており、読売新聞のデイリー読者数1,290万人(2020年読売新聞発表)に及びません。また、日本の新聞でも時々こうした名所ランキングのようなものが発表されますが、それほど印象に残らないというのが私の感覚です。

事実、昨年NYタイムズは同様の記事で盛岡市を取り上げていたとのことですが、何人の人がそれを覚えていたでしょうか?

むしろどのような理由で山口市が選ばれたのか、の方が大事と考えます。
今回の記事では、瑠璃光寺をはじめとする歴史的な名所を取り上げたのに加え、小さなカフェや窯元にも目を向けられたのが特徴です。

それほど観光地化されたわけではなく、その地域の普段着の生活を感じられることにフォーカスされているように感じられます。

すなわち海外の人たちも、つくられた観光名所だけでなくその地域の暮らしや風土、生活に興味を持ち始めているということです。そこに暮らす人々が、地域の特性を生かしながら生き生きと日々を過ごしている、そのことが地域の魅力につながるということを示しています。

これに対して私ができることは、地域で暮らす人々が生き生きと日々を過ごせるようにすること。とくに地域において生業をなす人々を支援していくことに他なりません。

2024年もそのような活動に力を入れていきたいと思います。

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萩焼は移住する前から結構買っていて、今では使っている食器の半分は萩焼になっているのではないかと思う。下手な料理でもうつわがいいとなんだかおいしく感じるから不思議だ。萩焼はもともとお茶席で使う抹茶茶碗が発祥なわけだが、近年は普段使いの手ごろな値段のものがあるのでついついそろえてしまう。

先日、萩明倫学舎という観光施設で「弐萩祭」というイベントがあり見かけたのがこの「萩焼ガチャ」。カプセルに入る箸置きなど箸置きなどの小物に限られるが、ワンコイン(500円)で買えてしまうのは、破格である。

イベントでは10以上の窯元が参加していて、5000点以上の萩焼が販売されていたとのこと。ひとつひとつが大きさや色が異なり、箸置き一つとっても千差万別。お気に入りを選ぼうとすると時間をかけて迷わなければならない。

対して「ガチャ」は、選ぶ行為を完全に運に任せてしまう。とかく「タイパ」が追及されるご時世、時間をかけて選んで、「結局あっちにしておけばよかった」などと後悔するくらいなら、いっそのこと運に任せてしまった方が合理的と考える人が増えたのだろう。

実際、関係者に聞くと予想以上にガチャをする人は多かったそうだ。

提供する側からしても、在庫品をうまく捌くきっかけになるのでいい売り方なのではないかと思う。

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1年前に空き家バンクで見つけた古民家に住み始めた。家だけでなく猫の額ほどの庭があり柿の木が生えている。どうも今年は表年だったらしくとんでもない量の柿が取れた。幸い全部甘柿なので食べればおいしく、近所にもおすそ分けして回っていた。

しかし、それでも捌ききれないほどで冷蔵庫は柿の山。それどころか柿をおすそ分けしたのに、お返しにまた別の柿が返ってくる始末。どうも周辺一帯表年のようだ。。それでも今年はクマ出没のニュース(実際すぐ500mほどのところでも目撃情報が出ている。)もあり、食料を与えない意味でもすべて刈り取った。

で、結局余った柿はメルカリに出品することにした。一応、どのくらいの値段で出ているか調べてみたところこれが結構たくさん出品されている。原価はタダ同然なので送料だけ賄えればという価格で出品したところ24時間経たないうちに売れてしまった。配送中に熟れすぎてしまうことも心配したが、どうやらそれもなかったようで高評価もつけていただいた。

このあたりの人に聞くと、柿は自分で買うことはほとんどなく、おすそ分けなどでもらうことが多いそうだ。しかし、思い返してみれば私が柿好きなこともあって、東京や大阪にいたときは1つ100円程度でもスーパーでよく買っていた。今回出品したのは計算すると1個60円程度になるので結構お買い得だったのだろう。

こう考えると地方ではタダで手に入って当たり前のものが、都市部では商売になったりする。地方が生きる道はそれを探しだすことにあるといえるだろう。

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日曜日夜はいつも大河ドラマを見ている。「どうする家康」の家康はいい人過ぎて若干違和感があったのだが、天下取りが見えてきて腹黒さが垣間見え面白くなってきた。いよいよ関ケ原の合戦が近づいてきていてクライマックスを迎えようとしている。

山口県萩市は戦国ものの大河ドラマだとほぼ出番がない。しかし、関ケ原になると西軍の総大将として毛利輝元が登場する。実質は石田三成と徳川家康の戦いなのだが、輝元は総大将に祭り上げられてしまったが故に憂き目を見ることになる。

戦後、家康と松山ケンイチ演じる本多正信に追い詰められ、何度もお家断絶の危機に直面しながら長門の国の果てまで来て踏みとどまる。そう、萩の街は毛利輝元公が造った街なのであり、戦国ものに登場しないのも当然なのである。

山口県では、輝元公は関ケ原で判断を誤り毛利家の衰退を招いたとしてあまり人気は高くないようだ。しかしあの時、徳川家に完全に潰されていたらその後の明治維新は山口からは起きなかっただろう。なにせ萩に移封後、毎年正月になると、いつ幕府を討つのか密議が交わされていたという伝説があるくらいなのだから。

ちなみに「どうする家康」では、吹越満が輝元公を演じている。ということで、少なくとも萩では、街の生みの親である輝元公が出てくるたびに、観光大使に呼ぶくらいのことをすればいいのにと思う。道の駅で流れる音楽が8年前の大河ドラマのテーマ曲というのではちょっと寂しい。

ひらそ

お隣さんからヒラソ(ヒラマサ)をまるまる一匹いただいた。魚市場のイベントでつかみ取りをしてきたものだそう。さっきまで泳いでいた魚なので当然に新鮮である。せっかくなので刺身でいただくことに、と言いたいとこだったが皮剥ぎに悪戦苦闘して結局タタキのようになってしまった。

見た目はどうあれ美味しかったことに変わりはなかった。地方に住んでいるとこうした農水産物をいただくことがよくある。釣ってきたイカ、出荷しきれなかったきゅうりにみかん。どれも取れたてのものばかりなので不味いはずがない。

おすそ分けだけでなく、スーパーなんかに行ってもほぼタダといってもいいほどの破格の値段で売っていたりする。これをもっと都会の人にも買ってもらえればなんて考えるのだが、それがそう簡単でない。遠くに輸送すれば当然、新鮮さが失われるし輸送費もかかるから、価格も高くなってしまう。

大都市の市場の場合美味しさだけではなく、安定した供給量や、形のばらつきのなさなどが求められる。これらが安定しないと飲食店や小売店側では日々値付けのコストがかかって儲からないからだ。

つくづく一次産業で稼ぐというのがいかに難しいかを感じてしまう。美味しいものをもっと多くの人に食べてもらいたい、その思いはそう簡単には伝えられない。

いまのところこの田舎の特権を感じてもらうには住んでもらうしかないのだろうか。

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