変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

カテゴリ: 憲法

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地域のブランドをアピールする場として、ふるさと納税の返礼品として地域産品を出品するというケースが定着してきました。私も東京在住時代に、ふるさと納税を利用して萩焼の急須を手に入れ、今も大事に使っています。

ふるさと納税に関して一つ気になる判決が先日ありました。泉佐野市が今年度のふるさと納税制度の認定から除外されたことを不服として争われていた裁判で、大阪高裁は同市の敗訴とする判決を下したのです。これに対して同市は、「実質的な遡及適用で違法だ」として上告する構えを見せています。

これは、アマゾンギフト券など地域産品ではない物を出品しさらに返礼割合が3割を超えていたとして総務省が同市の認定を除外し、それに対して泉佐野市が不服を申し立てたものです。

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ここで私が気になったのは、除外判断が新制度開始前の時点に遡及してなされたことはもとより、新制度が返礼品として「地域産品」に限るとしたことです。確かに地域産品が出品されることにより、その生産者にも恩恵がもたらされ地域経済が活性化されるという効果が期待できます。

けれども、そうでない方法を取ったとしても十分に市の財政にプラスになると判断されていたのだとしたら、それはそれで市の裁量であるともいえます。

さらに今日、気になるニュースがありました。ひとつは「天草ジオパーク」が認定を返上するというニュース。もう一つは愛知県西尾市が「西尾の抹茶」という地域ブランドのGI(地理的表示)を撤回するというニュースです。

いずれもブランド価値として十分な効果を発揮しておらずメリットがないと、それぞれの自治体が判断したものです。

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日本国憲法94条は地方公共団体の財政権を保障しているとされ、その財源の取得方法にも法律の範囲内で裁量があるものと解されています。すなわち、自治体の稼ぎ方は本来自由なものであってどのようなブランド価値を示すかも、地域ごとに自由に決められてよいと考えることができます。

確かにどこの地域にも、〇〇産の▲▲といったように既に強くイメージづけられたブランドというものがあります。しかし、これらの多くは古くからあったものをメディアによって表面的にとらえられたものであって、その地域の実情とは乖離している場合もあります。

実際、その土地土地に住んでみると、独特の商習慣や産業構造が見えてきて必ずしも一般にみられているイメージ通りに地域経済が成り立っている訳ではないことに気づきます。地域が今後生き残りをかけるにはその産業構造に即した戦略をとるのが最も有利となります。

もし、過去から蓄積された「伝統」や「風土」というものしか資源として使えないのなら、勝負は最初から決まっているようなものです。地域ブランドとはもっと自由なものであってよいのではと思うのです。

日本国憲法
第94条
 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

日本経済新聞 1月30日(木)「ふるさと納税、国が勝訴 裁量行政に疑問の声も」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55049680Q0A130C2EE8000/

日本経済新聞 2月3日(月)「天草ジオパーク認定返上 集客伸びず、更新審査も負担」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55091130R30C20A1ML0000/

日本経済新聞 2月3日(月)「西尾の抹茶GI取り下げへ 地元組合国に申請、全国初」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55160110S0A200C2CR8000/


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久々の投稿。7月21日(日)投票で参議院議員選挙で公示されテレビやネット上でも選挙戦に関する話題が増えてきました。なかでも、公的年金だけでは老後資金が2000万円不足するとした金融庁の報告書についてセンセーショナルに報道され、年金問題が今回の選挙の争点の一つとして挙げられています。

◆在職老齢年金制度の見直し

2000万円問題が大きく報道された直後、国民の不安を和らげようとするかのように、政府が「在職老齢年金制度の見直し」を実施する方針であることも報じられました。仕事に就き収入がある高齢者については現在、年金の支給額を減額ないしは停止していますがこれを見直し全額支給にしようというものです。

働くと年金がもらえなくなり就労意欲を削いでいるという理由から、これを廃止し社会保障制度の担い手を増やそうというのが目的です。ところが、この制度を廃止すると1兆円程度の支出増となりその財源の確保が課題となっています。

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◆年金拡大はシルバー民主主義?

一見すると高齢者を優遇するいわゆる「シルバー民主主義」が制度改革を促しているようにも見えますが、ネット上の反応を見ると以外にも大方この方針に賛同する声が多く、むしろ年金の支給を制限している現状の制度に対する批判が強いようです。

日本国憲法は国民に、健康で文化的な最低限度の生活を送れる権利、「生存権」を認めています。年金制度は歳を取って働けなくなっても生存権を保障するものであって、それが減らされることはけしからん、というのが多数派なのでしょう。

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◆財源先送りは「財政的幼児虐待」

「シルバー民主主義の政治経済学」(島澤 諭・著 日本経済新聞出版社)は、この現状について、日本においては「シルバー民主主義」は存在しておらず、「シルバーファースト現象」が発生しているに過ぎないと論じています。

すなわち、選挙においてどちらかというと多数派の高齢者の声を政治家が忖度しているにすぎず、たとえば子育て世代の保障を強くするべきという世論が強くなれば「こども保険」や「教育無償化」といった公約が掲げられるようになると指摘しています。

しかし、それらの財源はいずれも国の借金により賄っているのが現状でありこれを見過ごすことは、高齢者と現役世代が結託して将来世代に負担を先送りしているのに等しく「財政的幼児虐待」であると厳しい批判をしています。

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◆争点は未来の日本

在職老齢年金制度の見直しについて賛同する声が大きいのも、「財源が不足する」というところに我々有権者の目があまり向かないからなのでしょう。しかし、生存権を初めとする基本的人権は当然に将来の国民にも向けられたものであって、そうでなければ日本という国はそう遠くない将来、その存在自体が危ういものになるのは容易に想像がつきます。

消費増税・社会保障制度・憲法改正などが今回の選挙の争点であるといわれています。いずれも目先の利益にばかりとらわれて将来世代に負担を押し付けるような事にならないよう、投票に向かいたいと思います。

日本国憲法
第25条1項 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
   2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本経済新聞 6月5日(金)付より
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45708110V00C19A6EE8000/

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このところ飲食店やコンビニへ行くと、外国人が応対してくれることが多くなりました。と、いうより外国人しか見かけなくなったといった方が正確かもしれません。日本の人手不足もここまで来たかと考えさせられるものがあります。

4月に改正された出入国管理法では、日本語の試験に受かるなどすれば外食や宿泊などの業種で5年在留が可能なビザが与えられるなど、今後外国人が日本で働くケースはますます増えてくると予想されています。

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そのような状況でこの日経新聞の見出しは少し気がかりです。外国人の就労が増えているのであれば労災事故の件数自体も増えるのは数字上仕方のないことなのかもしれません。しかし、その中でも技能実習生の割合が過去最多を更新し続けているという事実は問題のように感じます。

厳しい労働環境で働く技能実習生の問題は、報道などでよく耳にするところです。しかし、現在の入管法では入国1年目の技能実習生であったとしても、日本人と同じ労働基準法など労働関係法に基づいた労働契約を結ぶことが義務付けられています。

それでも技能実習生の劣悪な労働環境が改善されないのはなぜなのでしょうか。

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そのひとつとして憲法第22条1項が定める「職業選択の自由」が外国人に対しては制限されていることが挙げられます。日本国憲法では第22条2項で「出国の自由」は保障しているものの入国の自由は保障されないとされています。入国に関しては、法務局の判断によって就労など国内に在留する条件を制限することができる、という過去の判例があるためです。

職業を自由に選ぶことができないとなると、仮にたとえ違法で劣悪な環境で働かされていたとしても、裁判などで違法性を訴えるのはかなりの労力がいります。そのためこのまま日本に在留し続けようと思えば結局は劣悪な労働環境を受け入れざるを得なくなるのが現実なのではないでしょうか。

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近年、憲法改正を訴える政治家や政党が増えてきていますが、外国人の人権については論点に挙げられていません。日本の人口が減って労働力の確保が喫緊の課題なのだとすると、外国人をどのように受け入れて彼らの人権をどう守るかも早々に議論しなければならないことの一つなのではないかと思います。

日本国憲法
第22条第1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
   第2項 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

日本経済新聞 2019年5月19日(日)付朝刊より
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44990510Y9A510C1CZ8000/

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今年は日本でも、4月に統一地方選挙、夏には参議院議員選挙が予定されており、巷には候補者のポスターが目立つようになってきて色めきだっています。

タイ王国でも今年は3月に総選挙が予定されており、各政党から首相候補が擁立されています。その中で、タクシン派の政党が国王の姉であるウボンラット王女を擁立しようとしましたが、国王が難色を示し、選挙管理員会もその擁立を認めなかったことで立候補が取り下げられるというニュースがありました。

タイの憲法においては、王族の選挙への立候補の禁止が明文化されているわけではありません。しかし、主権は国民にあり国王はその代行者であるという考え方がタイには根付いており、王族もその考えに準じるべきという判断が下ったといえます。

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実は、日本の皇族も選挙に立候補することは認められていません。そしてこれも憲法に明文化されているわけではありません。

皇族が選挙に立候補できないのは、公職選挙法の附則で「戸籍法の適用を受けない者の選挙権及び被選挙権は、当分の間、停止する」と規定されており、天皇・皇族は戸籍法の適用を受けない皇統譜に記載されているために選挙権・被選挙権が停止されているものとなります。

このような規定は、参政権という人権を否定するものになりますが、憲法が世襲制に基づく象徴天皇制を認めていることから、それによるやむを得ない制約は、憲法上許容されると考えられています。

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もし、仮に皇族が被選挙権をもったならば、象徴天皇制という枠をこえ、今回のタイの事件のように政治的中立性を保てなくなる懸念は十分に考えられるでしょう。

日本国憲法
第1条
 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第2条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第4条1項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する機能を有しない。

日本経済新聞 2月11日(月)付より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41143390R10C19A2000000/ 

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これからやってくる超高齢化社会。自分の親世代の介護ももちろん大変になることが予想されますが、私には子どももいなく自分自身が要介護になったときに誰が面倒を見てくれるのか、お金もないので想像するに切実な問題です。

特別養護老人ホームは、そうした低所得者向けの要介護高齢者を受け入れる公的な施設です。しかし、その競争率は30倍。そう簡単には入れそうにありません。

特別養護老人ホームに入れなかった人の受け皿となっているのがサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と呼ばれるもので、バリアフリーの住宅に住みながら介護サービスを受けることができるというもの。家賃は10万円程度が平均だそうですが、8万円以下の物件もあるようです。

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日本経済新聞が調べたところによると、サ高住のうち家賃が低い物件ほど重度の要介護3以上の住人の割合が増えるのだそうです。これは、介護サービスを手掛ける事業者が低価格で入居してもらう代わりに自社のサービスを利用してもらうように促していることに起因するとのこと。

介護サービス対する介護報酬は、利用者が1~3割を負担し残りは税金が負担しています。事業者としては介護するする人の人件費を賄うために必要であるとしているものの、介護報酬を目当てにしている面も否めないようです。

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日本国憲法は、国民の生存権を保障し「健康的で文化的な最低限度の生活」を営めるように、国に対して適切な施策をとるように定めています。象徴的な制度が生活保護です。

生活保護についても、その対象者を住宅に住まわせ生活保護費の一部を徴収するビジネスモデルがありました。このビジネスにおいては生活保護費の不正受給の温床になっており「貧困ビジネス」として非難を浴びました。

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こうした貧困対策が、必要とする人にいきわたらず、制度を利用する事業者の手に渡るのは本筋ではありません。適切な運用がされているのかどうかチェックすることも、大切な税金を無駄にしないために必要です。

日本国憲法
第25条1項 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
   2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本経済新聞 2019年2月3日(日)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40813420R00C19A2SHA000/ 

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