001

企業には、扶養控除制度や育児休暇制度といった結婚したあとの支援を行う制度は数多くあります。しかし、結婚を支援するという制度はなかなかありません。それどころか、社内恋愛を禁止したり長時間労働で会社に拘束されたりで出会いの場を奪ったりすることさえあります。

そうした流れをかえようと、福岡県では企業自らが未婚従業者の結婚を後押しすることを宣言し、祝い金を設けたり、結婚後も働きやすい職場づくりを実現しようとしています。はたしてこうした取り組みは功を奏するのでしょうか。

---☆---★---☆---★---☆---

東京大学大学院情報学環教授 佐藤博樹著「結婚の壁~非婚・晩婚」の構造によると、お見合い結婚は1970年代あたりから激減しはじめ、その代りに職場結婚相手を見つけるケースが増えてきたそうです。しかしそうした職縁婚も80年代には減少し、現在ではパートナーと出会うための婚活を行うために自らコストを払わなければならずそのハードルが高くなったことを指摘しています。

そのような観点からすると、結婚後の祝い金や働きやすさだけではインセンティブは働きにくいと考えられ、婚活自体のコストを支援するような取組みが求められるといえそうです。たとえば取引先との合コンを会社の経費で行うとか。

---☆---★---☆---★---☆---

ちなみにこの本によると、長時間労働と出会いの数との相関はあまりなく、本人のパートナーを見つけようとする意思に依存するのだそうです。これまで仕事を言い訳にしてきた私などは大きな方針転換を迫られることになりそうです。

西日本新聞 11月30日(水)付 より
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_sougou/article/292493