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ついこないだですが、NHK-BSで「ボス潜入」という番組をやっていました。企業のトップが特殊メイクで変装して自社の売り場などに潜入して課題を見つけ出すという内容。確かにハリウッド映画ばりの特殊メイクは舌を巻くものの、現場潜入といいながら「起業のための勉強」とか怪しい理由で、しかもテレビカメラを携えていてよくバレないもんだと不思議に思ったものでした。

しかし世の中には、売り場の覆面調査を生業にしている企業も存在しているようです。メディアフラッグ社長の福井康夫氏は、セブンイレブンで本部とオーナーをつなぐスーパーバイザーをしていた時にこのビジネスモデルを思いつき起業。セブンで習得した売り場レイアウトや販売促進策の進め方のノウハウをもとに、小売店向けに覆面調査で得た店頭の情報をもとに改善を促したり、メーカー向けに営業担当者が回りきれない店舗支援を肩代わりするサービスを2004年に開始、現在では21万人の調査員を年間述べ50万店舗に派遣するまでに成長させたそうです。

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調査員は登録制になっているようで、依頼を受けた店舗の近くに住む登録者が派遣され、覆面調査で得られた情報は携帯メールで簡便、迅速に報告ができるようになっているとのこと。働ける時間に働ける場所で簡単にオペレーションできるようになっていることからクラウドソーシングのような仕組みになっているのではないかと思われます。

起業から11年あまりで21万人を抱え年間50万店の規模の調査を行うというのは相当な規模拡大であり、仮に一人ひとりに販売促進策や店舗レイアウトのノウハウを教育して専門家として派遣をしていたらとてもこのスピードで成長することはなかったでしょう。

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「中途半端なベンチャーで終わりたくない」とこの会社、国内にとどまらずインドネシアやインドへ進出し海外事業にも乗り出しているそうです。気が付いたら店に来ているお客さんのほとんどが調査員だったなんてこともあったりして。

日本経済新聞 5月30日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO02934330Z20C16A5TJE000