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私の住んでいる街では鉄道は2時間に1本とめったに来ません。鉄道の姿を写真に収めようと思ったら時刻表をきちんと調べてからでないと、待ちぼうけを食らうことになります。

それでも、鉄道は時間通りにやってきて時間通り安全に人々を運んでいってくれます。これも車両故障などのトラブルが発生しないようにいつも点検と修繕が適切に行われていることの賜物です。


先日、日経新聞にJR西日本の岡山電車区でパンタグラフや車輪の自動検査装置が配備されるという記事が載っていました。線路脇にセンサーやカメラを設置して、車両が通るたびに自動的にデータが取得でき、これまでの目視による点検より2倍以上の頻度でデータを取得できるようになるそうです。

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鉄道の保全活動もかつては、故障したら修理するという「事後保全」の体制が取られていました。しかし、昭和30年代ごろから在来線の輸送力強化や新幹線の開業によりその精度向上がもとめられるようになりました。そのような背景から故障が起こる兆候を察知して部品の交換や修繕をあらかじめ行う、「予防保全」へと移行していきました。

予防保全を行うために大切なのがデータの取得です。部品がどのようにして劣化、損傷するのかそのメカニズムを解明し寿命を予測するためには、部品の形状や音、温度などのデータを取りその変化を観察することが欠かせません。

このようなデータの蓄積により私たちは安心して鉄道を利用することができているのです。また、一般的には事後保全は予防保全よりも膨大なコストがかかります。なぜなら修繕を行なうだけでなく、トラブル発生による信用の失墜や、それに対する関係者への補償を免れないからです。

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現在はIT化が進み、昔よりデータの利用が行いやすい環境にあります。データを正確に取得して分析し、それに基づいた適切な手立てを講じることが、これからの危機管理に求められるのは間違いありません。

日本経済新聞 中国地方版 3月4日付 「JR 西日本、パンタグラフ自動検査 岡山電車区」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56382340U0A300C2LC0000/