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地域のブランドをアピールする場として、ふるさと納税の返礼品として地域産品を出品するというケースが定着してきました。私も東京在住時代に、ふるさと納税を利用して萩焼の急須を手に入れ、今も大事に使っています。

ふるさと納税に関して一つ気になる判決が先日ありました。泉佐野市が今年度のふるさと納税制度の認定から除外されたことを不服として争われていた裁判で、大阪高裁は同市の敗訴とする判決を下したのです。これに対して同市は、「実質的な遡及適用で違法だ」として上告する構えを見せています。

これは、アマゾンギフト券など地域産品ではない物を出品しさらに返礼割合が3割を超えていたとして総務省が同市の認定を除外し、それに対して泉佐野市が不服を申し立てたものです。

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ここで私が気になったのは、除外判断が新制度開始前の時点に遡及してなされたことはもとより、新制度が返礼品として「地域産品」に限るとしたことです。確かに地域産品が出品されることにより、その生産者にも恩恵がもたらされ地域経済が活性化されるという効果が期待できます。

けれども、そうでない方法を取ったとしても十分に市の財政にプラスになると判断されていたのだとしたら、それはそれで市の裁量であるともいえます。

さらに今日、気になるニュースがありました。ひとつは「天草ジオパーク」が認定を返上するというニュース。もう一つは愛知県西尾市が「西尾の抹茶」という地域ブランドのGI(地理的表示)を撤回するというニュースです。

いずれもブランド価値として十分な効果を発揮しておらずメリットがないと、それぞれの自治体が判断したものです。

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日本国憲法94条は地方公共団体の財政権を保障しているとされ、その財源の取得方法にも法律の範囲内で裁量があるものと解されています。すなわち、自治体の稼ぎ方は本来自由なものであってどのようなブランド価値を示すかも、地域ごとに自由に決められてよいと考えることができます。

確かにどこの地域にも、〇〇産の▲▲といったように既に強くイメージづけられたブランドというものがあります。しかし、これらの多くは古くからあったものをメディアによって表面的にとらえられたものであって、その地域の実情とは乖離している場合もあります。

実際、その土地土地に住んでみると、独特の商習慣や産業構造が見えてきて必ずしも一般にみられているイメージ通りに地域経済が成り立っている訳ではないことに気づきます。地域が今後生き残りをかけるにはその産業構造に即した戦略をとるのが最も有利となります。

もし、過去から蓄積された「伝統」や「風土」というものしか資源として使えないのなら、勝負は最初から決まっているようなものです。地域ブランドとはもっと自由なものであってよいのではと思うのです。

日本国憲法
第94条
 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

日本経済新聞 1月30日(木)「ふるさと納税、国が勝訴 裁量行政に疑問の声も」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55049680Q0A130C2EE8000/

日本経済新聞 2月3日(月)「天草ジオパーク認定返上 集客伸びず、更新審査も負担」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55091130R30C20A1ML0000/

日本経済新聞 2月3日(月)「西尾の抹茶GI取り下げへ 地元組合国に申請、全国初」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55160110S0A200C2CR8000/