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わが高槻には何をかくそう「なでしこリーグ」で戦う「スペランツァ大阪高槻」というチームがあります。監督はガンバ大阪でもプレーした本並健治氏(非常にイケメン)。しかし、「なでしこJAPAN」で活躍するスター選手が数多くいる「INAC神戸」や「日テレベレーザ」に比べると財力も選手層も劣り、いつも2部リーグとの当落線上をうろつく成績です。それでも監督は2012年から本並氏に継続して任せられています。

そこから考えると、輝かしい実績を残してきたチームの監督を引き継ぐというのは相当なプレッシャーであるに違いありません。昨日、「なでしこJAPAN」の新監督に就任した高倉麻子氏は、選手としては79試合出場の30ゴールと女子黎明期を切り開き、指導者としても2014年にU-17女子ワールドカップで優勝を果たすなどの経歴の持ち主。日本サッカー協会の田嶋会長から「この人がいない」と太鼓判を押されながら大きな神輿の上に担ぎだされました。

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リーダーにカリスマ性を期待することは間々あることではありますが、それは大体の場合大きな変革を期待されてのことです。しかしながら、「なでしこJAPAN」の場合は、前任の監督がW杯優勝、オリンピック銀メダルとそれ以上の実績と(世間からみれば)カリスマ性を備えてしまったことから、大きな変革を起こそうとすることは並大抵のことではありません。

それだけに昨日の記者会見で高倉氏は「日本女子が積み上げてきたものに磨きをかけ、もっと高いところに選手を連れて行く」と述べ、従来の路線を大きく変えずにその延長線上で実績を上げていく考えを示しています。

しかしながら、アジアの中でも中国、韓国、北朝鮮と言った周辺国の実力が拮抗し始め、なでしこのサッカーも研究されつくされてきていることから、これから先も従来の戦い方が通用するかどうかはわかりません。
次のワールドカップまで3年、東京オリンピックまでは4年。時間はまだある中で、どこかで前任の監督を乗り越えて大きな変革を起こして、またぜひ日本中に感動を呼び起こしてほしいと期待しています。

日本経済新聞 4月28日(木)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO00191140Y6A420C1UU8000