164

京都の職場で働いていた時は、よく昼休みに京都駅ビルの伊勢丹を覗きに行っていました。屋上から新幹線を見たり、催事場でやってる地域物産展を物色したり。百貨店は何も買わなかったとしても歩くだけでも心が豊かになった気分になれます。

しかし、とくに地方都市の百貨店は苦戦を強いられており関西でも姫路のヤマトヤシキが閉店したり、私が住んでいた高槻の西武が身売りしたりしています。この流れは地方都市だけではなく首都圏の郊外にもやってきているようです。

--☆---★---☆---★---☆---

三越伊勢丹は、百貨店事業のほぼ半数を稼ぎ出している伊勢丹新宿店、三越日本橋店、三越銀座店に経営資源を集中させるとして、相模原・府中・新潟の3店舗を閉店すると発表しました。

伊勢丹相模原店が出来たのは私が中学生のころで、小田急線の相模大野駅前が急に都会になった印象を受けたのをよく覚えています。わずか30年足らずの間にこのようなときが来てしまったことに驚きを隠せません。

郊外の百貨店は、訪日外国人のインバウンド需要を取り込むことができず、イオンモールなどのショッピングセンターやネットショップに顧客を奪われたことが響き、売上の減少が続いています。

郊外の百貨店が閉店するとランドマーク的な百貨店がなくなることで街のにぎわいが消失し、専門店で買うようなアイテムの購入はよりネットショップに流れることが予想されます。

--☆---★---☆---★---☆---

しかし、百貨店などの実店舗は地域の雇用を支えていたという側面もあり、これがネットショップに取って代わられることは地域経済により多くの打撃を与えることになります。であるならば、せめて地域発のネットショップが地域を支える存在にまでなってほしいと願うばかりです。

日本経済新聞 9月27日(木)付朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35780230W8A920C1TJ2000/