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日本の街角にはラーメン屋を含めて、中華料理屋がいくつも存在します。安くて栄養価も高く日本の庶民にも深く浸透した食文化といって間違いありません。

中華料理には、広東、福建、北京、四川、上海などのいくつものジャンルがあります。中華料理が初めて日本に伝わったのは江戸時代の長崎からと言われていますが、すべてのジャンル日本に入ってきたのは1978年に調印された「日中平和友好条約」以後に上海料理の料理人が多数日本にわたってきたことによるのだそうです。

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今日、8月12日はその「日中平和友好条約」が調印されてちょうど40年に当たります。当時の中国は毛沢東政権の時代から隣国の超大国ソ連と激しく対立し、新たな安全保障の枠組みを模索せざるを得ない状況にありました。そのため中国は、「日中平和友好条約」の締結にソ連をけん制する「反覇権条項」を盛り込むよう強く求めました。

一方、日本はソ連との無用な対立は回避したいとの思惑から当初「反覇権条項」を含めた条約の締結には慎重な姿勢を示していました。しかし、イデオロギーや体制の異なる国々との平和共存を図っていく「全方位平和外交」の考え方を重視し、「反覇権条項」が特定の第三国をに向けられたものではないことをソ連側にも示しつつ、40年前の今日、条約調印に至りました。

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本日付の日経新聞の記事によれば、中国はアメリカのトランプ政権により仕掛けられた貿易戦争に苦戦を強いられ、日本とも新たな関係を築くために新たな日中間の文書合意を目指しているといいます。
12年の尖閣諸島国有化などで日中関係は大きく冷え込みましたが、それを回復する大きなチャンスと言えます。

考え方の異なる国とも関係を構築し、平和を維持しようとした40年前の外交政策には学ぶべき点が多くあるように思えます。日本国憲法が示す「国際協調主義」は軍事的な協調ではなく、本来こうした外交努力によってなされるべきものなのではないかと思います。

日本国憲法前文より

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本経済新聞 8月12日(日)付朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34081480R10C18A8EA3000/