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私はたばこを吸いません。吸った経験もほとんどありません。なので分煙が進んで煙草の煙を吸わずにすむのは大歓迎です。しかし先日入った喫茶店で、禁煙席に座ったのに「加熱式タバコのみOK」というステッカーが貼られていました。どういうことなのでしょう。

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加熱式タバコは従来の紙巻きタバコと異なり、たばこの葉に火をつけるのではなく加熱することによりニコチンを発生させ、それを味わうという仕組みで、紙巻きタバコに比べ健康被害のリスクが少ないとタバコ業界は主張しています。他方、日本呼吸器学会などはこれに真っ向から反論し使用者にとっても受動喫煙者にとっても健康に悪影響を及ぼすとしています。

先月成立した改正健康増進法では、この点について未だ科学的知見が不足しているとして、飲食店などでは喫煙ルームを設ければその中での飲食も可能としました。この法律の施行は2020年4月となっており、飲食店が加熱式タバコの喫煙を許可するならば、原則として喫煙ルームを設けることが求められます。

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ところで先述したステッカーは、JTが発売する加熱式タバコのみOKとするもので、JTが喫煙可能な飲食店が数多くあることを売りとして自社の加熱式タバコを広めることを目的に、飲食店に配ったものでした。

JTには分煙コンサルタントなるスタッフがおり、飲食店への喫煙ルーム設置のアドバイスを行ったりしています。このように飲食店を巻き込むことで競合の加熱式タバコを排除し、シェアを広げようという戦略のようです。

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タバコそのものを売ることよりも、その使用シーンを広げることによって売上を上げるマーケティングの事例と言えます。もっとも、私のようにタバコを吸わない人間にとっては、禁煙席がもっと増えてくれた方がありがたいのですが・・・

産経ニュース 8月2日(木)付 より
https://www.sankei.com/economy/news/180802/ecn1808020002-n1.html