003

2016年秋に映画化もされた、こうの史代作「この世界の片隅に」が現在TBS系でテレビドラマ化されて放映されています。その中で、主人公のすずが呉港に停泊している軍艦を何気なくスケッチしていたところを憲兵に見つかり厳しく咎められるシーンがあります。四方を海に囲まれた日本にとって、艦船が防衛の要になっていることは今も昔も変わらず、その情報が外に漏れることを強く警戒したものと考えられます。

核や化学兵器が搭載されたミサイルが発射から数分で着弾してしまう現代の脅威に対抗する手段として、日本は「イージス艦」という艦船の増強を図ろうとしています。現在稼働している海上自衛隊のイージス艦は4隻、これを2021年までに倍の8隻まで増やす計画です。

--☆---★---☆---★---☆---

イージス艦の特徴は、敵ミサイルの情報を瞬時に他のイージス艦と共有し、連携してミサイルの迎撃を行うことができる点です。これは自国のイージス艦だけではなく、米国とも情報共有ができ日米同盟の枠組みの中で共同でミサイル防衛が可能となります。

2001年米国によるアフガニスタン攻撃の際に、イージス艦の派遣が検討されましたが、日本のイージス艦が米国に情報を提供する行為が、「集団的自衛権」の行使に当たるという指摘が上がり見送られました。

従来、同盟関係にある他国に加えられた武力行使を阻止する「集団的自衛権」は憲法9条に違反するというのが政府見解でもありました。しかし、安全保障を取り巻く環境変化を日米同盟の強化により乗り切ろうとする政策によってこの見解に変更があったのが2014年の安倍内閣による閣議決定であり、2015年のいわゆる安保法制の成立でした。

--☆---★---☆---★---☆---

8月の中旬は、広島・長崎の原爆忌、終戦記念日と73年前の戦争を振り返る機会が多くなります。この先の戦争を回避するために同盟を強化するのか、憲法9条の理念を固持するのかまた考える機会にするのも、無念にも戦争の犠牲になった方々の意思を引き継ぎ現代を生きる私たちに課せられた課題でもあります。

日本国憲法
第9条第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。

日本経済新聞 8月5日(日)付朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33820290U8A800C1EA3000/