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「世界に一つだけの花」という歌がヒットしたのは実に15年も前。「ナンバー1にならなくていい」という歌詞は、競争を否定しているようにもとらえられますがそうではなく、多様性のある社会でなければ変化に対する適応力がなくなり逆に競争力を失ってしまう、ということをすでに示していたものと考えられます。

そのような考え方が定着しつつある現代において、自民党の杉田水脈氏が週刊新潮への寄稿で「LGBTには生産性がなく、彼らに税金を使うことはどうなのか」と疑問を示す趣旨の発言をして国内外から多くの批判を受けています。

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この税金の使い方の具体的にどのような点に疑問を抱いたかは不明ですが、仮にLGBT以外の人に当然に与えられている権利(たとえば生活保護など)すら与えるべきでないという趣旨なのであれば、憲法第13条(幸福追求権)、第14条(法の下の平等)に明らかに違反し、そのような税制を作ることは禁じられます。

憲法上でも問題となり今後議論の的になるのは主に同性婚の問題と考えられます。憲法第24条1項では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」とあり、成立当時の時代背景から考えれば同性同士の結婚が想定されていないことは明らかです。

安倍総理大臣は第189回国会参議院本会議での答弁で「同性婚を認める ために憲法改正を検討すべきか否かは、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題」と述べ、同性婚が認められるには憲法改正が必要であるという認識を示しています。

一方で、「両性の合意」とは男女のことを指すのではなく「結婚の意思のある個人」の事を指すものであって、戦前の親の意思によって決められた結婚を個人のものとするための文言であるという意見もあります。

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いずれにしろ同性婚が認められないことによって、相続の問題や親子関係の法的な認定が出来ないことによる子育て上の不利益が発生します。この点において現在税金の使われ方に差別があることは事実といえます。

しかし、このままいけば20年後には日本の人口の半数が独身になるといわれています。これまでの婚姻の考え方や家族の在り方にこだわっていては社会全体が崩壊してしまう危険性もあるのであり、そろそろ真剣に議論をしなければならないでしょう。

日本国憲法
第13条 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第14条1項 すべての国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第24条1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
  第2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

毎日新聞 7月21日(土)付より
https://mainichi.jp/articles/20180722/k00/00m/040/028000c