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スカイツリーの近くにTokyo Hutteというゲストハウスがあります。ここの1階はコ・ワーキングスペースとなっており、コーヒーにプラスして追加料金を払えば、WiFiと電源が自由に使え、私も何度か利用させてもらいました。

ゲストハウスの魅力のひとつは様々な地域から集まった人々と昼夜を共に過ごすことで交流が深まり、自分の知らなかった世界を見つけることが出来ることです。私もそのような魅力に惹かれ、全国のゲストハウスを巡るのが楽しみの一つとなりました。

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このたび東京神田の錦町にできた「錦町ブンカイサン」はさらに踏み込んで、起業家たちが暮らしを共にし、それぞれの世界を交流させながら事業を生み出していく、そんなインキュベーション施設のようです。

「錦町ブンカイサン」は、元は酒屋だったビルを改装、1~2階は「食べられるミュージアム」と言うコンセプトの飲食施設、3~5階は「農耕型インキュベーション拠点」と言うコンセプトでじっくりと起業準備ができるスペースとなっています。

野村総研が地域創生を目的として起業家を育てるために行った「イノベーション・プログラム」では、事業構想の段階で2人以上の強みを持ち寄ることを必須としたそうです。理由は、一人では生み出される事業プランが現状の事業の延長上に収まってしまうケースが多いからで、異なる発想や能力との結びつきによって革新を生み出すためです。

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元来、農耕とは多くの人が協力しあいながら土地を耕し、試行錯誤を繰り返しながら作物を育て、その果実を分け合うというプロセスです。多くの人が強みを持ち寄ることで、新たな事業を生み出し育てやすくする。「錦町ブンカイサン」はそのような施設であるのではないかと思います。

日本経済新聞 7月21日(土)付 首都圏版朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33236110Q8A720C1L83000/