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先日、墨田区議会の広報紙が自宅に投函されていました。平成30年度予算が成立したことに加えて、多くの区民が議会を傍聴できるように区役所以外で委員会を開会したというニュースが出ていました。裁判の傍聴には行ったことがありますが、議会の傍聴というのは経験がないので機会があれば行ってみたいものです。

ここ最近、重要な決定事項に住民投票を実施したり、地方政治に住民参加を促す動きが活発になっています。「市民会議制度」もその一つ。選挙により選ばれた首長や議員ではない地域住民が集まり、地域の問題について議論を重ねる仕組みです。

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愛知県常滑市副市長の山田朝夫さんは、この市民会議制度を用いて数々の自治体の問題解決に当たった異例のキャリアの持ち主。常滑市の問題のみならず、請われれば他の自治体にも出張してリーダーシップを発揮する「市民のためになるならなんでもする」という意欲にあふれています。

参考にしたのは自治体幹部を公募する「シティ・マネージャー」制度。日本国憲法下では地方自治体の首長は住民の直接選挙によって選ばれなければなりませんが、欧米では議会が専門化を招へいして自治体の責任者を任命する制度があります。

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山田さんはこのような仕組みを参考にしつつも、現場で仕事をするコツとして「お上意識を持たずに住民の声を徹底的に聞くこと」と述べ、あくまで住民の声を吸い上げることに心血を注ぎます。かつて自治省のキャリアとして仕事をしつつも、省内だけで法案を作りつづけることが「本当に世の中の役に立っているのか」と疑問に思い続けていたことが、そうした行動の原動力になっているようです。

公文書の改ざんや隠ぺいなど中央省庁の不祥事が相次いでいます。そこには政府に対する過度の忖度があったのではと憶測を呼んでいますが、誰が国や地域を治める統治機構を動かしていくべきなのか考えさせられます。

日本国憲法
第15条1項
 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
   2項 すべての公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
第93条2項 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の官吏は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

日本経済新聞 5月13日(日)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30438260T10C18A5SHB000/