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コンビニ業界は人手不足でシニアや外国人の活用も目立ってきました。そんな中、海外では無人のコンビニエンスストアというものも出来始めています。

そして、このほど世界中の話題を集めたのがアメリカシアトルにできた「アマゾン・ゴー」という無人コンビニ。買い物客は事前にアプリへの登録を済ませ、店内で選んだ品物を鞄に入れてそのままお店を出れば、店内の130台ものカメラが鞄に入れたものを判別し、レジを通ることなく買い物が済むという画期的な店舗です。


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今のところアマゾンは、シアトル以外にアマゾン・ゴーを出店する意向はないと述べていますが、この仕組みを傘下の食料品マーケット「ホールフーズ・マーケット」に展開し業務効率化を図るのではという見方がなされています。

しかし、このアマゾン・ゴー、実は完全に無人なわけではなく棚への商品の補充とアルコール販売の年齢認証だけは人間が行っています。そう考えると普通のコンビニと同じくらいの人件費はかかっていることになり、業務効率化だけのためにアマゾン・ゴーを開店したという見方には少し疑問が残ります。

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では何が目的なのでしょうか。

私は、このカメラでの観察技術にこそアマゾンの狙いがあるものとみています。

大手のECサイトでは、これまでもMA(マーケティング・オートメーション)などの仕組みを使って、実店舗とネットの購買履歴をもとに次の買い物の提案を行って顧客を囲い込むことが行われています。

カメラの観察技術を高めることができれば、これをさらに店内での行動、たとえば「お酒の瓶を手に取ったけど銘柄を見て結局買わなかった」と言った細かいしぐさまで見て、メールで他のお酒を提案するといったことが行えるようになるのです。

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品物をただお店に並べただけでは売れない時代、お客さんを観察し真のニーズをつかむことがショップの成功の鍵を握っています。ここのところ売上の調子が良くないようならば、アクセスログや購買履歴をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

日本経済新聞 1月24日(水)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26059460T20C18A1TJ2000/