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最近は、色々な地方のお土産屋さんで手ぬぐいやふきんを見かけるようになりました。肌触りの良い生地に可愛らしい絵柄が描かれているとつい手に取って買って帰ってきてしまいます。なかなかもったいなくて普段使いできないのですが絵柄を眺めているだけでほっこりとした気持ちになります。

そんな流れを汲んでか、大阪市中央区に本社を構えハンカチなどのプリント加工事業を営んできた松尾捺染では、数年前より消費者向けに生地の販売を開始。年内には台湾、シンガポールなどの百貨店にも進出して海外にまで販路を広げようとしています。

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同社はハンカチのプリント加工では国内トップ級の老舗。これまではアパレル業界への納入が中心でしたが、アパレル業界の事業環境の厳しさ、企業間競争などでコスト優先になっていました。そこでターゲットを自分で小物やバッグを作りたい消費者にも広げ、売り上げを伸ばす戦略に出ています。

現在、大阪・船場に直販の店舗「船場盛進堂」を構えるほか、2020年には東京・吉祥寺に手芸講座を開くスペースを併設した店舗を開設する予定と販路を次々と拡大していく計画ですが、最初に消費者向け販売を開始したのはネット販売。専用のサイトのほか楽天市場にも出店しておりネットから消費者への認知度を高めていく戦略をとりました。

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インターネットショップでの販売は、実店舗に比べ人件費や地代・家賃などの固定費が小さくて済み、一般消費者向けに販路を広げるのに参入しやすいチャンネルといえます。下請け脱却などを目的にネット販売から一般消費者向けへの販売を開始する製造業者は今後も増えてくることでしょう。

日本経済新聞近畿版 11月16日(木)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23525070V11C17A1LKA000/