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最も印象に残っている学生時代はと問われれば、私は間違いなく高校時代であると答えます。たった3年間ではありましたが、強く印象に残っています。決して楽しいことばかりではなかったのですが、それまでの価値観を大きく転換した時代だったと思います。

厚生労働省は、経済的に困窮している家庭の子どもを対象に自治体が実施している学習支援事業について、主な対象の小中学生に加え2018年度から高校中退や中卒の子どもにまで対象範囲を広げ、経済的理由で高等学習が出来なくなった子ども達を救済しようとしています。

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この学習支援事業は、生活困窮者自立支援法に基づくものです。この法律は右肩上がりの経済成長が見込めない中、これ以上生活保護受給者を増加させないために生活困窮者を支援し自立を促すために2015年に成立しました。子どもへの貧困の連鎖を防止するために学習支援を積極的に行っているものとなります。

憲法25条は国民の最低限の生活を保障し、国はより快適な生活を増進せねばならないということを定めています。生活保護と言う制度はこの憲法25条が定める生存権に基づくものとされています。しかし、ひとたび法的に「最低限の生活」「より快適な生活」として定められたものを引き下げるには、正当な理由が必要であるとする「制度後退禁止の原則」があるとされています。

したがって、経済成長が鈍化し国の財政が苦しくなったからとて、簡単に「最低限の生活」「より快適な生活」の水準を下げるわけにはいかないのです。

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戦後の復興、高度経済成長を経て日本は世界に名をはせる経済大国となりました。その豊かさを維持できる国であり続けるためには、経済的に困っている人にも手を差し伸べ共に学べる環境を作る必要があるということのようです。

日本国憲法
第25条 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本経済新聞 9月3日(日) 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H5A_S7A900C1CC1000/