変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2018年12月

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平成30年が終わろうとしています。今年は私にとっても厄年、とても災害の多い年だったように思います。とくに大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号と春先までずっと暮らしていた関西地方に大きな被害をもたらした天災が襲ったことは非常に心苦しい限りでした。

近くに住んでいればもっといろいろできたものの、ボランティアとして行けたのは地震の片付けにかつての居住地、高槻に行った1回だけでした。地震後1か月でまだ屋根にブルーシートがかけられた家も多くありましたが、普段の生活を取り戻しつつある姿を確かめられたことは私にとっても一つ安心でした。

かつてに比べて、災害ボランティアへは参加しやすくなっていると感じます。1995年に起きた阪神大震災の時には、学生で時間のある身分でありながらどうやって参加するか分からず何もできずにいました。それだけこの20数年のうちにボランティアを活かす仕組みが整ったといえます。

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災害対策基本法でも、その基本理念で「国、地方公共団体その他の公共機関の適切な役割分担及び相互連携する」とともに「住民一人一人が自ら行う防災活動及び自主防災組織その他地域における多様な主体が自発的に行う防災活動を促進すること」と定め(第二条の二)、ボランティア活動を含めた自助・共助の活動と連携することが求められるようになりました。

この法律の目的は、「国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護」(第一条)ことにあり、憲法が保障する生存権や財産権を守ることが目的であるといえます。

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一方でこの目的を達するために、災害時に法律で対応しきれない事態に備えるため、例外的に行政に強い権限を持たせ避難経路の確保やがれきの処理を迅速に行えるようにする、緊急事態条項を憲法にもたせるべきという考え方があります。この場合、国が中央集権的に地方公共団体やその他団体を指揮しながら災害への対応に当たることになります。

ただ、緊急事態条項はこれにより財産権やその他の人権を一部制限することからその取扱いは慎重にならざるを得ません。また、国が現場のすべての情報を把握し正確に指揮をとることができるのかという現実的な問題もあります。

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平成は、数多くの災害に見舞われた時代でもありましたが、その一方でボランティアという自主的な助け合いの力が芽生えた時代でもありました。次の時代にもこの力を活かし育てながら、今後やってくるであろう難しい課題にも立ち向かえる社会が育つことを願うばかりです。

日本国憲法
第13条 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第25条1項 すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第29条1項 財産権はこれを侵してはならない。

日本経済新聞 2018年12月31日(月)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39492820Y8A221C1947M00/

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大阪、京都、東京と日本の観光地を歩くとドラッグストアの袋を下げた中国系の観光客をよく見かけます。そういう方たちから時々道を聞かれたりしますが、習っていた中国語もなかなか口をついて出ず日本語かカタコトの英語で返してしまいます。

しかし、今後はそんな心配も必要なくなるかもしれません。なぜなら中国国内のECで安く買える輸入品の量が増えるかもしれないからです。

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中国政府は2019年1月からEC経由で輸入される商品に対し、関税や消費税などの税を減免する優遇措置を拡大します。上海や北京、西安など中国国内37都市にある保税区を経由して輸入された場合、関税を免除し増値税(日本の消費税に相当)、消費税(ぜいたく品に課税)の税率を通常の7割に減免、その限度額も月2000元から5000元(約8万1000円)の2.5倍に増加させます。

これにより家電などの高額商品も対象になる可能性が高まり、性能が高く中国でも人気の日本の電化製品の販売も増加しそうです。

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今回の決定には、停滞しはじめた国内消費を刺激するとともに、米国との貿易摩擦を緩和するという政治的な意図も含まれるようです。年末に株価が大きく下落し、2019年の景気の先行きが心配されるところですが、この中国のEC市場拡大のチャンスを掴めば活路を見出すこともできそうです。

日本経済新聞 2018年12月29日(土)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39539690Y8A221C1EA2000/ 

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今年、生まれて初めて「ふるさと納税」なるものに参加しました。本当は牛肉セットなど地域のおいしいものも頼んでみたかったのですが、ほとんど家にいることがない私にとっては、受取のタイミングが難しく断念せざるを得ませんでした。

そもそも、家のマンションには宅配ボックスもありません。なのでネットで何かを頼んでも不在票がポストに放り込まれていることがほとんどです。この状況では生ものなど到底頼むことはできないのです。

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しかし、状況は変わりつつあるようです。パナソニックは2019年にもマンション向けの宅配ボックス、しかも冷蔵機能付きのものを都内のマンションに納入する予定です。また郵便受け製造最大手のナスタも一戸建て向けの冷蔵機能付き宅配ボックスを発売するそうです。

冷蔵機能付きの宅配ボックスは維持費の問題や、まだそれほど需要がないことからスーパーマーケットなどを除いてほとんど普及していませんでした。しかし、アマゾンが「アマゾンフレッシュ」で生鮮食料品の宅配を始めるなど需要が高まってきています。

共働きや高齢者の一人暮らしが増えるのに伴って、今後も生鮮食料品の宅配需要は高まるものと思われ、パナソニックやナスタは冷蔵機能付きの宅配ボックス製造に踏み切った模様です。

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生鮮食料品などの生ものを扱う店舗は、ある程度人通りのある場所など立地に左右される部分が大きかったですが、冷蔵機能付き宅配ボックスが普及すれば、場所に関わらず営業を行うことが可能となります。料理の腕に覚えがあってもお店を構えるのはハードルが高いという人にとっても、独立して自慢の料理を提供できるチャンスといえます。

日本経済新聞 12月26日(水)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO39341880V21C18A2TJ2000/ 

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日本の紙幣は精密に作られていて偽造されにくい。だから電子マネーの普及率が諸外国に比べて低いのだとか。このままだと海外から日本にやってきた人が決済をしにくいという理由もあって、政府は2025年までに決済における電子マネーの割合を40%までに高める目標を立てています。

来年10月に予定されている消費増税の際にも、中小小売店で電子マネーを利用した場合に決済金額の2~5%を還元する方針を示しており、中小小売店であるフランチャイジーを多く抱えるコンビニ大手3社もこれに応え、直営店を含めた全店で2%還元を行う方針を固めました。

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ファミリーマートはさらに、携帯で決済が行える独自の電子マネー「ファミペイ」を来年7月から導入することを発表しました。携帯電話決済の電子マネーについてはセブンイレブンも来年夏までに独自の会員制アプリをリリースする予定です。

携帯電話での決済については、ソフトバンク・ヤフーが提供する「ペイペイ」、楽天が提供する「楽天ペイ」、LINEの「LINEペイ」など通信会社やネット事業者系のものが先行しています。ファミリーマートではこれらの決済も来年1月までに利用できるようにする予定ですが、これらとは別に独自に電子マネーを発行するのには、自社で購買分析を行う狙いがあるためです。

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このように電子マネーにはレジ業務の効率化や現金管理のコスト削減といった効果のほかに、購買データの蓄積という狙いもあり各社が競うように独自のものを発行しています。しかし、このまま種類が増えていくと、従来のポイントカードのように財布を膨らませるだけで結局使われなくなるという二の舞を演じることになりかねません。

本気で電子マネーをさせるためには、小規模の電子マネーが淘汰されるか、交通系のICカードのように規格を統一するなどして、汎用的に使用できるものが生み出される必要があります。

「ファミペイ」については業務提携をしている「ドンキ・ホーテ」でも利用できるようにするそうです。このような提携が今後どの電子マネーでどのように進んでいくのか注意深く見ていく必要がありそうです。

日本経済新聞 12月27日(木)付 夕刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39422220W8A221C1MM0000/ 

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今日はクリスマス。この時期にコンビニ各店はチキンの値引き販売をやっています。少しでも安くして多くの需要を取り込みたいということなのでしょう。近所のローソンを覗いてみるとチキンのほかにかき揚げやフランクフルトのチラシが張られていました。

かき揚げは年越しそばの具に、というのはわかりますがフランクフルトは何なのかと少し考えてしまいますが、総務省の家計調査(二人以上世帯)調べてみると、12月はソーセージの消費量が増える月のようです。おそらくこれもクリスマスパーティなどで食べられることが多いのでしょう。

このように、意外な需要をとらえてプロモーションが打てるのは、コンビニチェーンがPOSレジを使ってデータを常に収集しているからです。年齢や性別、その日の天気などチェーン各店から集められた大量のデータにより、より精緻な予測を可能にしています。

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このようなデータを中小の小売店が集めるのは簡単ではないと思われるでしょう。しかし、来年の秋からはそうも言っていられなさそうです。品目によって税率が変わる軽減税率が実施されることで、売上高が5千万円を超える事業者は、何がどれだけ売れたかを申告しなければならなくなるためです。

POSレジを導入できるほどの資金がない、という事業者の強い味方になるのがモバイルレジ。リクルートライフスタイルが提供するAirレジなどは、無料で利用ができなおかつホットペッパーなどから集められたデータとともに分析が行われ経営改善のサポートが受けられるサービス(当初は飲食店のみ)も受けられるそうです。

これには売上データなどAirレジで取得されたデータをリクルートライフスタイル社側に提供することが条件となります。しかし、新たな設備投資をする必要がない上にデータを使った分析もできるのならお得ではないかと思います。

変化の激しい時代、データを活用できなければ必ず行き詰まるときが来てしまうでしょうから。


日本経済新聞 2018年12月14日(金)付 より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38919100T11C18A2000000/ 

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