変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2017年07月

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仙台の一番町という商店街に大きなお茶屋さんがあり、1年前の正月に行った時の初売りでにぎわっていたのを思い出しました。この7月に仙台市を訪れたときも健在で元気に商売をしておられました。仙台の人たちは意外とお茶が好きなのかもしれません。

京都も「宇治茶」などでお茶は有名ですが、2017年は京都府全体活性化の一環で宇治市、城陽市など府南部の山城地域を中心に「お茶の京都博」を開催中だそうです。これらの地域は最高級の多種多様なお茶を作りつづけて喫茶文化の展開を、生産、製茶の面から支えてきました。

しかしながら、食文化の変化により日本人でもゆっくりとお茶を入れて楽しむという機会が減ってきており、こうしたイベントを開催することによりお茶の魅力を再認識してもらう必要に迫られているといえます。

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総務省による家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市および政令指定都市ランキング(2014~2016年平均)によると、お抹茶や茶道のイメージの強い京都市では、実は緑茶の消費は、量においては7位(1,140g)でありながら、金額では22位(4,334円)と1位の静岡市(10,436円)からは大きく水をあけられています。

一方、コーヒーの消費を見ると量においては1位(3,398g)、金額においても2位(7,962円)となっており、京都人は緑茶よりもむしろコーヒーをよく飲み、お金もかけているという結果になっています。

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京都では、「喫茶文化」そのものは残っているものの、それは「緑茶」ではなく「コーヒー」に取って代わられていることが窺われます。「お茶の京都」と呼ばれるようになるためには、消費の面でも「緑茶」による「喫茶文化」を支えられるようにならなければならないようです。

日本経済新聞近畿版 7月20日(木)付 「京都経済特集」より

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私は、幸いにもこれまであまり大きな病気をしたことがなく、大病院のお世話になるのは年に一回の健康診断の時くらいで済んでいてお医者さんと接するのもほんの一瞬です。しかし、何年か前に叔母が脳の手術を受けることになったときは専門の先生のスケジュールがなかなか押さえられなくて大変だったようです。

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大病院に勤める先生も多忙なようですが、病院に勤める以上雇用契約を結ぶことになります。神奈川県の私立病院に勤務していた医師が、年俸の雇用契約上、残業代が支払われなかったことを不服として争っていた裁判で、最高裁判所は「残業代は年俸の中に含まれない」とする判決を言い渡しました。

憲法27条は、国が法律により労働条件を適切に設定することを求めており、使用者と労働者が対等な立場で交渉し労働環境の改善を実現する「労働基本権」に積極的に関与することを期待しています。しかし、本件の医師の場合の年俸額は1,700万円と一般的な労働報酬としては高額で、残業の割り増し賃金などを定めた労働基準法で、どこまで「労働基本権」を守るべきかが争われたと言えます。

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「労働基本権」を確立する根拠としては、主に2つが考えられます。ひとつは「経済的弱者である労働者」が対等に使用者と交渉できるようにするということ。もうひとつは、ひとつめが原因になることが主に考えられますが「不利な立場である労働者」が対等に交渉できるようにするということ。

日本のようにまだ転職市場が欧米ほどに成熟していないと、「経済的弱者」でないとしても労働者側が対等な立場で交渉することが困難である、と最高裁判所は判断したのかもしれません。

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現在、政府は労働基準法を改正し、コンサルタントなどの高度な専門知識をもち報酬が手厚い労働者に対し、裁量労働の導入とともに、時間外労働規制をなくすという議論がされています。使用者との対等な立場を確保するためには、これに加え転職市場を拡充することが求められるのかもしれません。

日本国憲法
第27条1項 すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
第2項 賃金、就業時間、急速その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

日本経済新聞 7月8日(土)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07H4Z_X00C17A7CR8000/ 

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ここのところ毎年のように仙台へは遊びに行っているのですが、年々市内がにぎやかになっていくのを感じています。2年前の冬に訪れたときには新しい地下鉄が開通していて郊外へ出るのも非常に便利になっていました。

この仙台市のある宮城県、3日に発表された2017年分の土地の路線価によると仙台市内青葉通前(14.1%上昇)や広瀬通前(15.2%上昇)などの高い上昇率を背景に、全国1位の上昇率(3.7%上昇)になったとのことです。しかし、東北6県でみると福島県が1.9%上昇であったほかは下落となったようです。

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路線価は、相続や贈与による土地取得時の税額計算の基準ともなる土地の評価額を表しています。宮城県は5年連続の上昇となったわけですが、これは震災復興の進行によるものだけではないようです。

第七十七銀行のレポートによると、2014年の東北6県の人口動態は全県とも人口減の傾向ではありながら、宮城県だけが社会増となっており他県からの流入が多くなっていることが読み取れます。
さらに宮城県の調査では、仙台圏の人口のみが東日本大震災発生後も増加傾向にありそれ以外は減少傾向にあるそうです。

すあわち東北において仙台圏のみが突出して人口吸引力を持っており、そのため冒頭の地下鉄開通など開発が進み路線価を上げる結果となったようです。

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この結果は、裏を返すとそれ以外の東北の地域は人口減少による衰退の危険性をはらんでいるということがいえます。仙台は新幹線や飛行機のアクセスがよくて行きやすいですが、せっかく東北行くのであれば他の地域にも是非足を伸ばしてみたいものです。

河北新報 7月4日(火)付 より
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201707/20170704_73005.html 

bus

高槻市は人口高々35万人の都市ながら、いっちょ前に市バスが走っています。バス事業は決して利用者が多い路線ばかりではなく、その割に運転手の人件費もかかり市の財政も大変だろうなどと思っていたのですが、聞くところによると運営は民間の業者に委託しているのだそうです。

一般的に公務員の人件費より、民間の人件費の方が低く抑えられる傾向にあり、自治体が公営事業を民間に委託し、業務効率化を図るケースは増えてきているようです。日本経済新聞社が調査した結果によると民間委託などの取組みにより業務効率化が最も進んでいるのは島根県松江市で、ここ10年間に周辺自治体との広域合併で24%もの職員削減を図り、その過程で取り組んだ業務効率化が順位を押し上げたようです。

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地方自治体が、こうした業務効率化に取り組む意義として、もちろん財政の健全化を図るということが大きいのですが、財政の自治を確保することが地方の住民による自治を確保するためにも重要であるということがあります。

現在、歳出の額を地方税のみで賄えている地方自治体はごくわずかであり、不足分は国からの補助金や地方交付税に賄われています。全体的にみると地方税による財源は3割程度しか確保できておらず「三割自治」などと言われ問題視されているのが実情です。これでは憲法が定めているような地方財政の自治とは程遠いと言わざるを得ません。

そのため、人口減の影響を大きく受ける地方自治体が、業務効率化により歳出削減を図ることは、必須のミッションであるといえます。

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本日は、東京都議会選挙の投票日。東京オリンピックや豊洲市場への移転など目立つものが争点にされがちですが、地方自治を守るという意味で、業務の効率化による歳出削減についても、我々が代表者を選ぶときに考えるべきことなのかもしれません。

日本国憲法
第94条 地方公共団体は、その財源を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

日本経済新聞 7月2日(日)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18379140R00C17A7EA1000/

031

高槻駅からの帰り道に、古民家を利用したカフェができています。店内は企業で使われていた事務机や古いソファなど古家具を使ってレイアウトされ、古家具は販売もしていました。最近ではこうした古いものを再利用して新しい価値を見出そうとする動きが盛んになっているようです。

JR西日本も、篠山市で古民家再生を手がけるノオトなど2社のベンチャー企業と提携して、古民家をホテルやレストランに再生させる事業に参入を決めたそうです。篠山市を足掛かりに今後、紀州、山陰、出雲、瀬戸内、北陸でも古民家再生事業を広げていくそうです。

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JR西日本が古民家再生に乗り出す狙いは何でしょうか。

一つは、インバウンド需要などを背景に沿線の近畿・中国地方の観光資源の掘り起しであると考えられます。JR西日本は先日、山陰、瀬戸内を廻る豪華寝台列車「瑞風」の運行を開始したほか、2020年には「瑞風」よりリーズナブルな値段で利用できる新たな観光列車を導入することを発表しています。

もう一つは、不動産市場の変化が挙げられます。日本の人口は2010年をピークに減少に転じ、新築住宅の減少と中古不動産流通の増加がみられるようになってきています。そのため、リフォームやリノベーションの市場が拡大し、冒頭のベンチャー企業などが台頭し、新たにホテルやレストランを建設するよりも割安でサービスを開始できるようになったことが要因であると考えられます。

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使い古された物でも新たな使い方を見つけることで新たなビジネスチャンスが見つかる。国際的にも知られるようになった日本の「もったいない」精神は、人口が減少し出した今こそ生かされるべき時なのかもしれませんね。

日本経済新聞 6月26日(月)付 より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASHD26H5Q_W7A620C1LKA000/ 

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