変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2017年02月

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 私は商店街を歩くのが好きで、旅行に行っても観光地に行くより商店街を見て回る方がテンションが上がってしまいます。しかし、地方都市の商店街というのはご周知のとおり「シャッター通り商店街」などと揶揄されて厳しい状況におかれており、結果、高齢者などの買い物弱者を生み出すという問題もはらんでいます。

この本の筆者である新雅史氏は、父親が商店街の商店主だったこともあり、こうした問題に対する意識から、商店街のなりたちから衰退した経緯に至るまでを、その形成理由と政府の保護政策という観点から考察しています。

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本書によれば、日本に点在する商店街のほとんどは「伝統的なもの」でもなんでもなく、第一次大戦・第二次大戦後に発生した農村から都市部への労働人口の流入の受け皿のために「発明」されたものであり、大きな資本も持たずに商いを始めた彼らが都市部で大量に失業しないために、大規模小売店から保護することにより成り立ってきたものであると指摘しています。

しかしながら、高度経済成長を経てオイルショックを迎えると、そこからいち早く立ち直った日本型企業に勤める労働者こそが日本経済を支える主役となり、結果、保護政策を解除する規制緩和が進み自営業者層は衰退を加速させることになります。 

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筆者はこうした商店街の衰退により、前述のような買い物弱者の発生や、コミュニティの崩壊といった弊害を指摘し、地域を支えるための規制が必要であると提案をして本書を締めくくっています。

私もこれ以上商店街が衰退してしまうのは、地域の賑わいや雇用創出の面で問題があると感じています。ただ、小規模小売店の保護という規制だけに頼るのは限界があるのではないかと思います。と、いうのはこれまでのこうした保護政策は、都市部に流れ込む労働人口の抑制という文脈で進められてきたものであり、労働人口が減少してきた現在はその必要性も薄れてきています。また、長期的には需要が減少することから保護するだけでは先行きは見通せないと考えられます。

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最近、商店街の中に、若者たちが集まって自由に新しいビジネスができるインキュベーション施設のような店舗がみられるようになりました。こうした取り組みにより新ビジネスの立ち上げ期の支援を行うことが今後の商店街活性化のためには必要なのかもしれません。
もしもその中から国際的にも競争力のあるような企業が生まれてくれば、その地域が飛躍的に明るくなるのではないかと夢を見てしまいます。

商店街はなぜ滅びるのか~社会・政治・経済史から探る再生の道
新雅史[著] 光文社新書 

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10年ほど前の中国の成長は著しく、失われた20年と言われて低迷を余儀なくされていた日本では、中国の勤勉さやハングリー精神を見習うべきとまでいわれ、私も会議室で中国の生産現場のビデオを見せられたことがあります。しかし、その急成長の勢いも以前ほどではなくなり世界経済の先行き不透明感を助長しています。

そんな中でも、工作機械の中国向け輸出が14か月ぶりにプラスに転じ、輸出・国内合わせた受注金額が2カ月連続で前年同期比を上回ったそうです。機械受注は、景気動向の先行きを表す先行指数であるといわれ、今後の見通しに薄日が差しているといえそうです。

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とはいえ、前述のとおり中国の経済成長率は2011年第2四半期以後一けた台の成長にとどまっており、2000年代に見せた急激な経済成長を取り戻すとは考えにくいように思えます。

一方、国内においても法人企業統計調査年報によれば、大企業、中小企業ともリーマンショック後の2009年第4四半期以後、経常利益は伸び続ける傾向にあるものの、設備投資の額は横ばいのままとなっています。

逆に言うと、上げてきた利益を元手にそろそろ設備投資を伸ばしてもよい時期と言えるのかもしれません。

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工作機械の国内の受注状況は、補助金待ちなどの影響で1月度は前年比割れをしているものの、自動車や半導体関係の需要は堅調とのこと。今後、生産した自動車や電子機器の売れ行きが良くなれば景気も回復するかもしれません。

そういえば私もそろそろ新しいノートパソコンがほしくなってきた頃です。

日本経済新聞 2月17日(金)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16HWR_W7A210C1TI1000/ 

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JR高槻駅西口前は、ここのところにわかに建設ラッシュで新しいマンションが増えてきています。どうも低金利が続く中、不動産投資によって運用益を得ようとする動きが活発化していることによるもののようです。

日銀がマイナス金利政策を始めたのがちょうど1年前。本来なら設備投資などが活発化して経済活性化を実現させるのが狙いのはずですが、個人消費も盛り上がらず、関西地銀の平均貸出金利は1.180%から1.048%に低下し、関西9行の16年4~12月期の純利益の合計が5年ぶりに最終減益。関西に関して言えば、この目論見は必ずしもうまくいっていないようです。

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日本銀行「金融経済月報」のデータによれば、1990年代前半のバブル崩壊以後、2000年代後半にいたるまで、金融機関からの貸し出しは大企業・中小企業とも7割近くまで減少し、その後2015年には、大企業はバブル崩壊以前の水準まで回復するも、中小企業はリーマンショック後横ばいのままとなっています。

これは、大企業は2000年代後半より海外への投資を活発化させているのに対し、中小企業は内部留保の範囲内で設備投資を続けているためと考えられています。近畿大阪銀行の中前公志社長は「海外経済の先行きが見通しにくく投資につながるか不透明」とのべ、依然として慎重な姿勢をとっている中小企業の実態が透けて見えます。

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バブルの崩壊、リーマンショックとここ20年ほどで経験した大きな経済不安により、リスクをとりたがらない傾向にあるのかもしれません。しかし、このままではじり貧になってしまうのも現実ではないかと思います。そろそろ個々の稼ぎ方にも大転換を図り大きな一歩を踏み出す時期が来ているのかもしれません。

日本経済新聞近畿版 2月16日(木)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO12963930V10C17A2LDD000/ 

就-了 で-しおわった。
才-  -もかかった。
 
我坐出租车5分钟就到他家了,我走40分钟才回家。

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昨年の朝ドラ「あさが来た」で有名になった五代友厚。大阪証券取引所を設立したことでも知られています。取引所設立にあたり「膨大な額に上る金禄公債証書などが、将来広く売買されるようになれば、本社の仕事も必ず盛んになることでありましょう。」と語りその意義を強調したといわれています。

名古屋大学では、大学発のベンチャー企業が株式上場をしやすいように、名古屋証券取引所と日本公認会計士協会東海会と連携して支援する共同研究を始め、資金調達をしやすい仕組みづくりにつなげるそうです。

しかし、会社を立ち上げ証券取引所に株式を上場するというのは並大抵のことではありません。財務省の「法人企業統計調査年表」によれば、中小企業の借入金依存度は下落傾向にあるとはいえ2014年度時点で40%を超え、大企業よりも10pt以上も高い水準となっています。

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企業が株式を市場に上場する狙いは、上場しない場合に比べ格段に速いスピードで事業を拡大することができることにあります。上場によって投資家がその将来性を認めれば株価が上がり、上昇した株価で増資を行えば容易に多額の資金を手にすることができるためです。

社会にイノベーションを起こすような目新しいビジネスを急成長させることは、経済の新陳代謝を促し経済の活性化をもたらします。

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とくに中京地域においては、優良企業が多いながらも、トヨタなどの大企業の業績に地域経済が左右されやすく、リスクを背負ったベンチャービジネスは育ちにくいとも言われています。

こうした中で、大学が資金調達の方法まで支援をしてくれることは、地域に真新しい産業を生み出し経済の活性化推進に大きく役立つのではないかと思います。

日本経済新聞 2月15日(水)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO12894410U7A210C1TCN000/ 

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