海洋資源の枯渇が問題視されている中、養殖技術の向上が注目されています。最近では「近大マグロ」や「お嬢サバ」といった養殖モノのブランドも目立ち始め、決して天然の魚に劣らない品質を実現することもできているようです。
豊中市に本社を持つ鯖専門店、鯖やはこのたびクラウドファンディングを使って1億1,380万円を調達し、福井県小浜市とその地元の漁連と共同で養殖事業を開始するそうです。同時に自社の経営する店舗「SABAR」を小浜市や東京、関西などに4店舗新規出店し養殖した鯖を提供するとのこと。
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鯖やは過去にもファンド型のクラウドファンディングを使って新規出店を図っており、個人からの小口出資により資金調達する方法を多用しています。クラウドファンディングは、実施しようとする事業ごとにその事業に賛同する個人から出資金を募ることができることに特徴があります。
鯖やのように「鯖にこだわった料理専門店」といった新たな市場を開拓する場合には、アーリーアダプターの反応を見ながら新規出店のマーケティングとして利用することができるというメリットがあります。
しかし、これまでの新規出店の際の募集金額は、1,000万円程度。今回は4店舗のオープンに加え、「養殖」という生産手段に対しても出資者を募ることから金額も大きくなり、規模拡大に向けて大きな勝負を仕掛けてきているといえそうです。
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実は、鯖やが当初よりクラウドファンディングで利用しているミュージックセキュリティ社の募集要項によれば、初期の募集事業のときには負債が資産を上回る状態にあったようで、そのような状態の中でも「鯖」のリーディングカンパニーの地位を獲得すべく規模拡大をする戦略をとっているといえます。
自ら起こすイノベーションが支持される自信と確信が持てる場合に、クラウドファンディングは強い味方になってくれるようです。
日本経済新聞 2月27日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13388590V20C17A2TJE000/