変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2016年05月

012

ガンダム、タイムボカン、サイボーグ007。昔見たアニメではロボットや人工知能、コンピュータ技術などが戦いの場面で大きく活躍していました。しかし、それはあくまでSFの世界。どこか現実とは遠いものであると感じることができたからこそエンターテインメントとして楽しめたのだと思います。しかし、こうした先端技術の開発を行っている日本の大学の研究を現実に軍事にも活用させようという動きが出てきているようです。

日本の科学者の代表機関である日本学術会議は、26日に軍事目的の科学研究について検討する会議を設けたと発表。軍事と民生の両分野で応用できるデュアルユース(両用)の技術の扱いなどを議論するそうです。防衛省が昨年から基礎研究に資金を配分する「安全保障技術研究推進制度」では採択された9件のうち4件は大学が担い、大学による軍事研究は事実上既にスタートを切っています。

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防衛省が大学までを含めた民間の技術開発を頼りにする背景には、技術革新のスピードが増していることがあるようです。防衛省の担当者は「ドローンのように意外なところから新技術が登場する」と述べ、軍事専門の研究機関だけでは限界があることを示唆しています。

イノベーションには性能の向上を目指す「持続的イノベーション」と、まったく新しい特性を持った製品や仕組みを生み出す「破壊的イノベーション」の2種類があるといわれています。そして一度イノベーションを成功した組織は「破壊的イノベーション」を起こしにくくなる「イノベーションのジレンマ」に陥りやすいとされます。

技術革新のスピードが速い今日、「破壊的イノベーション」をいち早くとらえるには民生利用が主目的のものの軍事転用、またはその逆のことを利用することが必要と考えたのだと思われます。

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都内で会見した日本学術会議の大西会長は「(かつて戦争目的の科学研究に関与しないとの旨の)声明を出した当時と比べて社会状況が大きく変化した」と今回の議論開始の意義を説明しています。

一方、奇しくも今日、広島で演説をしたオバマ大統領は「恐怖の理論から我々は自由にならなければならない」「科学を、生活をよりよくするものに使ってほしい」と述べ、科学技術の暴走によって生まれた核兵器の廃絶を強く世界に訴えました。

現代に生きる全ての人間は「人類の英知である科学をどのように使うのか」という問いに、正しく答えられるか試されているといえます。

日本経済新聞 5月27日(金)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H5I_W6A520C1EE8000/ 

shinkansen

阪急電車に次ぐ私の乗りたい電車は、新幹線。私は幼少のころ関東に住んでいましたので、阪急電車に乗るためにはまず新幹線に乗って大阪に来る必要がありました。新幹線に乗る前の晩は興奮してなかなか寝付けなかったものです。今、東京-大阪間はのぞみでおよそ二時間半。将来、リニア新幹線が大阪まで開通するとこれがたった一時間余りで結ばれることになるのだそうです。

当初、リニア中央新幹線は2027年に東京(品川)-名古屋間、2045年に名古屋-大阪間を開業させる予定でした。ところが大阪までの開業を、8年前倒しする計画を政府とJR東海が検討し始めたそうです。

東京-名古屋間の開通のために必要な建設費をJR東海は銀行などからの借り入れや社債発行でこれを賄う予定で、当初それ以降は急激な長期債務の増加を避けるために大阪延伸工事の着工までに8年間の猶予を置く計画でした。これに対し政府は、大阪までの事業費を超長期の低金利の財政投融資と言う形で資金提供し、猶予期間を短縮させる案を練っているようです。

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JR東海の2016年3月期の決算短信によると、総資産は約5兆円強でうち約4割が株主資本などの自己資本となっています。東京-名古屋間の建設費だけで5兆5000億円に上るそうで、これを仮にすべて借り入れや社債などの負債で賄うと、自己資本比率は2割近くまで下がることになります。

さらに、大阪まで延伸すると総事業費は9兆円規模に膨らむため同様に想定して自己資本比率を算出すると15%近くまで下がりかなり安定性に不安が出てくる水準になってきます。

同社同期のフリーキャッシュフロー(ざっくりいうと自由に使えるお金)は4,500億円程度で、仮に毎年これくらいの返済を続けて政府案での負債を20年で完済する計算です。そのとき2057年。その時私がこの世にいるかどうか微妙なくらいの未来になります。

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8年の前倒しがあったとして東京までリニア新幹線で行けるようになるのは、私が還暦を迎える年。そのくらいの歳になると早く着くことよりも、ローカル線でゆっくり旅をすることの方が良いと思っているかもしれません。(というか、今でもそう思ってます。)

日本経済新聞 5月26日(木)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02791330W6A520C1MM8000/ 

多大了?~いくつになりましたか?
你妹妹多大了?
※目上の人にはNG

您贵庚?

033

自虐ネタで恐縮ですが、私独り身のためファミリーレストランに行く機会はほぼ皆無です。ましてや値段が少しお高めの「ロイヤルホスト」などに足を踏み入れた記憶はここ数年ありません。しかし、そんなロイヤルホストの親会社であるロイヤルHDも、生産効率の向上に余念がないようです。

千葉県に2か所あるグループの製造工場を2017年度をめどに1か所に集約し、そのための移転や新設備の導入のために30億円を投資するとのこと。パンの焼成やドレッシングの調理を手掛ける第2工場の機能を第1工場に移したうえで、充填方法の見直し等の改善を行い、生産性を2割程度向上させることを目標とするそうです。

今回の生産工程の見直しの主な狙いは、グループでブランドが増えたことによる多品種少量生産に対応することとのこと。第1工場の2トン級の巨大調理釜も700キログラム級のものに差し替えより多くの献立を作れるようにするようです。

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ロイヤルHDのホームページを見るとここ数年で首都圏にローズベーカリー、カレー家族(現スパイスプラス)、スタンダードコーヒー、ピンクベリーと矢継ぎ早に新たな業態の店舗を出店しています。

そのためパンやドレッシングなど食材ごとに工場が分かれていると出荷を二か所から行わなければならない分、店舗が増えるごとに2ルート分のコストが増えてしまいます。また、生産管理も出店ブランドごとに2工場に分かれて行わなければならなくなり複雑化してきます。

こうしたことを解決するために工場を一本化し、充填方式の改善などで配送も行いやすようにするという狙いがあるのではないかと思われます。

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ところでこのロイヤルHD、グループ会社の生産部門を福岡に本社があるロイヤルという会社が一手に引き受けており、販売と製造が別会社になっているという外食産業といては少し変わった組織形態をとっています。安定的に高価格帯のファミリーレストランを展開する「ロイヤルホスト」も、生産部門の「ロイヤル」が日々、生産の効率化に汗を流しているからこそなのかもしれません。

日本経済新聞 5月25日(水)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02739120U6A520C1TI5000/ 

011

京都駅を12:25に出発する特急「はしだて」5号は、かつてのブルートレインのような青い列車が使われています。もちろん昼間に出発する列車なので寝台特急ではありません。デザインは数々の豪華列車や観光列車を生み出してきた水戸岡鋭治氏。社名も北近畿タンゴ鉄道から京都丹後鉄道(丹鉄)に変わった同社は観光資源の発掘に本腰を入れ出したようです。

京都丹後鉄道の親会社にあたるウィラー・アライアンスは地域活性化支援会社のumariと組み、沿線での起業を支援するファンドを創設、集客策など丹鉄の活性化につながる事業計画に投資するそうです。8月まで「鉄道ビジネススクール」と題して参加者に集客策や車内販売など具体的な事業計画を練ってもらうとともに起業ノウハウなども教えるとのことです。

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沿線に関連事業を起こし、鉄道の利用客を増やすという手法は、小林一三氏の阪急電鉄の例が有名です。宅地開発や大劇場、野球場といったエンターテイメント施設、ステーション隣接の百貨店などなど。しかし、それらをすべて自社で行うには多額の資本が必要となることは言うまでもありません。

前身の北近畿タンゴ鉄道時代、路線は赤字続きで沿線の住民から廃止を危惧する声が上がっていたほどですから、そんな資本はありません。そこで外部の組織と連携して起業家たちを集め、鉄道事業に関連する事業を立ち上げてもらうことでWin-Winの関係を築こうというのが今回の戦略のようです。

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天橋立に、コウノトリの郷、少し足を延ばして城崎温泉と沿線には観光資源がいっぱい。それらを楽しめる新事業がたくさん生まれたら、私も丹鉄に乗ってゆっくりと旅をしてみたいと思います。

日本経済新聞 5月24日(火)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO02670970T20C16A5L83000 

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