変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2016年05月

003

「バイオマス」と言う言葉を初めて聞いたのは実は大学のころ。ざっくりいうと「植物から得られるエネルギー源」と言うような意味ですが、私の所属していた研究室では人工衛星のデータから地球上のバイオマスの総量を割り出そうという壮大な構想を描いていました。と、言っても私はその研究室の最新鋭のパソコンでネットサーフィンばかりしていたのですが・・・

それはさておき、このバイオマスを使った発電がいよいよ実用化に近づいてきているようです。神戸市の洸陽電気は発電効率の高い小規模バイオマス発電システムを開発し、来夏にも宮崎県串間市での事業化を図るとのこと。発電の際に生じる廃熱を燃料となる木質ペレットの乾燥工程に活用する仕組みだそうです。

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バイオマス発電は、一般に発電規模が大きくないと利益を上げるのが難しいとされてきました。そのため広域で木材の奪い合いになる懸念があり、このために禿山が増えたのでは少しも環境に優しい発電であるとは言えません。洸陽電気のように生産コストを引き下げることによりようやく小規模の地域発電として事業性を実現することができるわけです。

また、廃熱を途中工程に利用することにより、エネルギー効率を75%まで引き上げることができ、温室効果ガス排出の抑制や省エネルギーも実現することが可能になっています。政府も再生可能エネルギー特措法に基づき未利用木材を用いた発電能力2000キロワット未満の買取価格を1ワット時当たり32円から40円に引き上げ小規模発電の普及を促しています。

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エネルギーも地産地消、自給自足が行えるようになれば、人間も初めて地球に害を与えることなく自然環境の一部として生きていけるということなのかもしれません。

日本経済新聞 5月31日(火)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02984180Q6A530C1LDA000/

001

ついこないだですが、NHK-BSで「ボス潜入」という番組をやっていました。企業のトップが特殊メイクで変装して自社の売り場などに潜入して課題を見つけ出すという内容。確かにハリウッド映画ばりの特殊メイクは舌を巻くものの、現場潜入といいながら「起業のための勉強」とか怪しい理由で、しかもテレビカメラを携えていてよくバレないもんだと不思議に思ったものでした。

しかし世の中には、売り場の覆面調査を生業にしている企業も存在しているようです。メディアフラッグ社長の福井康夫氏は、セブンイレブンで本部とオーナーをつなぐスーパーバイザーをしていた時にこのビジネスモデルを思いつき起業。セブンで習得した売り場レイアウトや販売促進策の進め方のノウハウをもとに、小売店向けに覆面調査で得た店頭の情報をもとに改善を促したり、メーカー向けに営業担当者が回りきれない店舗支援を肩代わりするサービスを2004年に開始、現在では21万人の調査員を年間述べ50万店舗に派遣するまでに成長させたそうです。

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調査員は登録制になっているようで、依頼を受けた店舗の近くに住む登録者が派遣され、覆面調査で得られた情報は携帯メールで簡便、迅速に報告ができるようになっているとのこと。働ける時間に働ける場所で簡単にオペレーションできるようになっていることからクラウドソーシングのような仕組みになっているのではないかと思われます。

起業から11年あまりで21万人を抱え年間50万店の規模の調査を行うというのは相当な規模拡大であり、仮に一人ひとりに販売促進策や店舗レイアウトのノウハウを教育して専門家として派遣をしていたらとてもこのスピードで成長することはなかったでしょう。

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「中途半端なベンチャーで終わりたくない」とこの会社、国内にとどまらずインドネシアやインドへ進出し海外事業にも乗り出しているそうです。気が付いたら店に来ているお客さんのほとんどが調査員だったなんてこともあったりして。

日本経済新聞 5月30日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO02934330Z20C16A5TJE000 

007

「赤字」とは、支出が収入を上回ること。簿記の世界で不足額や欠損額を赤い字で書いたことから始まった言葉だそうで、大正時代から昭和時代にかけて広まったそうです。その意味を知らない人はほぼいないと思いますが、この状態を続ければ持てる資産をすべて使い果たすか、借金まみれになって首が回らなくなるという結果が待っています。

政府・与党は2017年4月に予定されていた消費増税を19年4月もしくは10月に再延期させる方針を近日発表する見込みですが、その場合でも20年度に基礎的財政支出(プライマリーバランス・PB)を「黒字」化する目標は維持するとのことです。政府はこれまで①18年度にPBの赤字をGDP比で1%程度に下げる②20年度に黒字化③GDP比の債務残高を中長期的に引き下げるという3つの目標を掲げていましたが、増税延期をしても②③の目標は堅持する方針だそうです。

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GDP(国内総生産)とは「ある一定期間に、ある国の経済において生産されたすべての財・サービスの付加価値の合計」を指しています。これは生産面からみたときの定義で、分配面でみたGDP(家計・企業・政府の収入の合計)、支出面で見たGDP(GDPが何の用途に使用されたかを示したもの)もすべてその値が等しくなる「三面等価の原則」を持っています。

このうち支出面で見たGDPとは

GDP=民間・政府最終消費支出+国内総固定資本形成+在庫品増加+輸出-輸入

という式で表されます。

政府は19年4月もしくは10月に増税実施したのちの税収増と歳出改革を進めることで20年度の黒字化をもくろんでいますが、上記式の政府支出の部分が減ることになるため③のGDP比の債務残高を減らすためには政府支出以外の部分でGDPを増やす努力をしなければなりません。
消費税増税による歳入の増加は約5兆円。それに対して20年度のPB黒字化には経済成長率を実質2%以上、名目3%以上としても6.5兆円分の歳出削減と税収増が必要になると、政府は試算しており相当険しい目標を立てていることになります。

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消費増税による財布の懐具合も気になるところですが、国の借金返済も実現できるのか気になるところです。

日本経済新聞 5月29日(日)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS28H2N_Y6A520C1PE8000/ 

菜~料理(ただし、もっぱらおかずの事をさす)
饭~食事(ラーメンやごはんなど主食も含めた食べ物)

你家谁做饭?
我姐姐做。
你姐姐的拿手菜是什么?
是麻婆豆腐

006

大都市のイメージがある大阪ですが、実は一か所だけ「村」があります。金剛山を背に奈良県との県境に位置する千早赤阪村。私も千早川のマス釣りなど何度か訪れたことがありますが、車があれば大阪市内からも小一時間の位置にこれほど自然が豊かな山里があるものかと感動したものです。しかしながら、全国の「村」と同じように過疎化に悩む自治体の一つでもあります。

千早赤阪村は2040年には人口が3,000人程度と現在の6割程度まで落ち込むと独自の予想を立てており、人口減に歯止めをかけようと躍起になっています。
まず、コンビニを誘致するために出店費用の半額負担(最大300万円)、当初3年間の損失半額(最大年100万円)負担を約束する制度を制定。そして移住者のための空き家バンク制度の創設。さらには外国人観光客を誘致するための古民家を利用した民泊の取組み。
村での生活の利便性を高めつつ、人を呼び込むための施策を次々と打ち出しています。

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人口減少は、出生率の低下から日本全体を覆う現象として予測され、全国の自治体が取り組まなければならない課題となっています。それだけに環境の変化に応じて自らの強みを生かし、他の自治体と差別化を図らなければ定住者の確保は難しくなってくるものと思われます。
 
そのような中で千早赤坂村の強みとなりうるものは①豊かな自然とそれを生かした第一次産業②大阪や堺への通勤も可能であること③関西空港からも近い位置にあること、などが挙げられます。
③については外国人観光客の誘致に有利といえますが、世界経済の行方は予想が難しく長期的に村内の産業を支えられるかは不透明です。
そのために①②を生かす施策が必要となりますが、コンビニの誘致と空き家バンク制度だけでは最低限の環境を整えたにすぎず、強みを生かしているとまでは言えません。

すなわち、これだけでは人口減少を食い止めるのは難しいものと考えられます。もう少し長期的な視点に立った戦略が必要であるといえます。

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平成23年度に制定された千早赤阪村の第四次総合計画では、千早赤坂村の将来像として「夢を持って子育てができる 金剛山(こごせ)の村」という理念が掲げられています。確かに千早川の清流や美しい棚田に囲まれて子どもがのびのびと暮らせるのはとても魅力です。次の一手として子育て世代が如何に暮らしやすい環境を作れるかが鍵を握るのではないかと思われます。

日本経済新聞近畿版 5月28日(土)付 朝刊より 

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