変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2016年02月

004

日本の大企業は、組織内のすり合わせがうまく組織間で連携を取りながら発展を進めてきた反面、既存路線からの転換を難しくしイノベーションを阻害してきたという指摘があります。そうした弊害を取り払うためには、蓄積した知識や技術を「活用」するのと並行して、従来の領域とは異なる知識や技術を探る「探索」の2つを追う「二刀流の原理」を活用すべきであると筆者の柴田友厚・東北大学教授は述べています。

とくに大企業において「探索」の活動を効果的に促進している例として、3Mの「15%ルール」(勤務時間の15%を正規業務以外の事に費やせる制度)や、小林製薬の「社員提案制度」を挙げそのうえで、これらの制度を十分に機能させるためには「汝、アイデアを殺すなかれ」(3M)、「全員参加による創造と革新」(小林製薬)と言った組織文化が欠かせないと結論づけています。

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組織文化とは、組織のメンバーに共有された価値観や信念、行動規範などであり、これらが組織メンバー間で共有されることにより意思決定のすり合わせを容易に行い、コミュニケーションを円滑に行うことができます。組織文化がもたらす効能を享受するためには、組織の構成員に組織文化を規範や基準を明確にする必要があります。(これが、上記の例でいえば「汝、アイデアを殺すなかれ」、「全員参加による創造と革新」といった行動規範にあたると考えられます。)

さらにそれを浸透させる施策として、「QC活動などの小集団活動の実施」、「儀式やセレモニーの実施」、「奨励すべき行動のエピソードなどの伝承」などが有効とされます。「15%ルール」や「社員提案制度」なども「探索」活動の考え方を浸透させるための施策と言えるでしょう。

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風通しの良い組織は、いろいろなアイデアが自然に生まれてくるもの。そのためには組織全体で文化を築き上げていくことが大切と言うことのようです。

日本経済新聞 2月29日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO97798100X20C16A2KE8000

014

私のメガネは度が合っていないのか遠くにあるものがよく見えません。しかし、はるか海を越えて海外にあるものが見えてしまうメガネがあるそうです。そうです、最近話題になり始めたウエラブル端末です。ドラゴンボールのベジータがつけていた「スカウター」のよう情報機器が現実の物となる時代がやってきました。

そうしたウエラブル端末を工場で使用する例が出てきているそうです。たとえばと24時間稼働の工場を持つ電線メーカー、ジェイマックス兵庫工場では、夜間の製造設備が故障しても修理担当者がウエラブル端末を装着した出勤中の従業員に遠隔で指示を出し修理を行うのだそうです。
またこの工場では、口では説明が難しい熟練工の技術伝承にも役立つことが期待されているのだそうです。

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工場での生産性を上げるには、できるだけ工員の作業を標準化し効率化を図っていくことが理想です。
そのためにIE(Industrial Engineering)という手法で、科学的に作業を分析しより資産性の高い方法を研究します。工員の作業においては、サーブリッグ分析と言う方法を用いて、人間の動きを「つかむ」「運ぶ」「放す」といった細かい動作にまで分解して動作分析を行ったりします。

とはいえ、こうして出来た「生産性の高い方法」を定義したとしても、工員の熟練度というファクターは排除することができず、熟練工の技に頼っている工場も珍しくはないようです。そうした技術の伝承が急務となっているのです。

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とはいえベジータをはじめとするサイヤ人も「スカウター」を付けたから強くなったのではなく、日々鍛錬をしたから(?)強くなったはず。地道な鍛錬もやはり怠ってはいけないでしょう。

日本経済新聞 2月28日(日)付 朝刊より
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO97593680T20C16A2TZD000?channel=DF260120166490&style=1

春天到了~春が来た

后天,春天会到日本。
 

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9年前にNHKで放送されていた土曜ドラマ「ハゲタカ」。大森南朋演じる冷徹な外資系企業のファンドマネージャー鷲津が日本企業を買い漁っては、バッサバッサと日本企業の古い体質を切り崩していく様が経済音痴の私にも痛快で、目が離せなくなったドラマの一つでした。

放送当時は、「村上ファンド」などによる敵対的買収に対する恐れから「ハゲタカ」などと蔑まされていたファンドビジネスですが、鷲津が行ったような企業再生にこそ意義があるといえるのではないかと思います。

三菱UFJ銀行と三菱商事は1千億円の大型ファンドを立ち上げ、大企業が事業の一部を切り出し成長させる資金や中堅企業が事業承継を行うための資金を供給するビジネスを始めるそうです。出資の形で資金提供を行い、配当や株式の値上がり益を得るというビジネスモデルのようです。

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企業が事業の一部を切り離して独立させる手法として「新設分割」という方法があります。これは一般に企業内の優良、成長分野を独立させる場合に利用される手法です。

新設分割を行った場合は、新設会社の株式を分割元の会社が引き受ける場合(物的分割)と分割元の会社の株主が引き受ける場合(人的分割)があります。こうしたことからファンドはまず分割元の企業に出資し、優良部門の分割を促したうえで「人的分割」によって新設会社の株主になる、といった手法も取られるのではないかと想像します。

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こうした手法で、伸び悩む企業内でくすぶる優良事業が力を得て成長し、日本経済を支える事が期待されます。

もっとも、こうしたファンドが立ち上がった背景としては、マイナス金利で行き場を失った資金の出資先として事業再編に矛先が行ったという事情もあり、結局のところ有力な事業が発掘できるかどうかがカギを握るのではないかと思われます。

日本経済新聞 2月27日(土)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ26HXG_W6A220C1MM8000/

sharp

25日(木)、シャープの取締役会が開かれ台湾の鴻海精密工業による買収提案を受け入れることが決議され発表されました。これにより100年以上続いた日本の電機会社大手の一角が、外資によって支配されることが確実となりました。

シャープといえば大阪市阿倍野区に本社を構える関西企業。これまで同社に製品を直接納入していた関西の企業は621社で全納入業者の37%を占めるそうです。こうした企業もシャープの再建交渉の様子を固唾を飲んで見守っていたはずで、外資が買収先に決まったことによる影響は避けられない状況となってきました。

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企業が、製造部品などの購入計画を立てる際に利用する考え方としてMRP(Material Requirements Planning)というものがあります。これは生産計画に合わせて、生産に必要な材料の量を算出し、調達計画を立てる方法です。生産に必要な材料を算出する際にはBOMという部品表が使用されます。BOMは部品の構成を階層的な構造で表現し、部品を作成するのに必要な量を記載していきます。

こうして生産に必要な部品を把握したうえで、調達が必要な部品の量を計算していくわけですが、鴻海はEMSと呼ばれる低コストで電子部品を生産するビジネスモデルを確立しており、液晶パネルの駆動部品など鴻海で調達できる部品を生産している企業にとっては脅威となります。

一方、今回のシャープ買収により鴻海が垂直統合を実現したことにより、自社ブランドで新たなスマートフォンを出す可能性もあり、新たな部品の需要が生まれビジネスチャンスが広がると期待する企業もあるようです。

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まずは、シャープ本体の立て直しが急務かと思われますが、関西の関連会社にも恩恵が得られるような形で再建が進んでいくことを望むばかりです。

日本経済新聞近畿版 2月26日(金)付 朝刊より

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