そういえば先日、バスに乗った時に妙な違和感を感じました。停留所を知らせる車内アナウンスのイントネーションが微妙に変なのです。そう、これまではスタジオに一日お姉さんが缶詰になって全停留所の名前を読み上げてレコーディングしていたであろう車内アナウンスが、自動音声に取って代わられたのです。
オックスフォード大学のM・オズボーン氏とC・フレイ氏が、ロボットや情報技術の発達により人間の仕事の約半数が置き換えられると論じたことは先日も紹介いたしました。
http://kansailove.blog.jp/archives/1081674.html
これについて、国立情報学研究所教授の新井紀子氏は、「どの知的作業がコンピュータに代替えされるかは、論理的に考えて、代替えされた方が精度が上がるものは人が関与しなくてもよくなる」と述べ、自然科学の知識が重要であるとしています。
一方で、青山学院大学特任教授の猪木武徳氏は「何が自分と人間社会にとって価値あるものなのかを検討し、「権威」に依拠しない自分の考えを正確に豊かに語る能力、説得力のある文章を書く能力を養うことが不可欠」と説き、数学・哲学・言語とともに古典を読む人文学や社会科学の遺産をよく学ぶことの重要性を指摘しています。
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いまや企業経営においてIT技術の導入は不可欠となっております。その目的は、生産現場の生産性の追求にとどまらず、市場の変化への柔軟性の向上、社会的ニーズへの適用性の向上、企業経営の効率性の向上とスピード経営への対応にも利用されています。
そのためにFAやMES、SCMそしてERPと様々な情報システムが導入されるに至っていますが、いずれも最終的には人間がそれらの情報を見て判断をすることには変わりありません。
そこに「自分と人間社会にとって価値あるものが何か」という問いが、必ずついて回ることになります。
もし、その判断をも放棄してしまえば人間は機械によって追放され、機械が人間を支配する世界が待っていることでしょう。
日本経済新聞 1月31日(日)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO96737950Q6A130C1MY5000