065

ここ2~3日、台風の影響か西日本各地は猛烈な暑さに見舞われています。外を歩いているだけでオーブンの中にいるような気分でした。しかし72年前の今日、広島の人たちが経験した熱さはこんなものの比ではなかったはず。

「髪は縮れ真っ黒い顔をした人々が、焼けただれ裸同然ではがれた皮膚を垂らし、燃え広がる炎の中を水を求めてさまよう。~」広島市の松井市長は、「平和宣言」の中でこのような原爆の悲惨な状況を想像するように促し、そのうえで為政者に対し、核兵器の非人道性の認識を深めた上で、自国のことのみに専念して他国を無視することなく、共に生きるための世界をつくる責務があるということを要求しました。

--☆---★---☆---★---☆---


しかしながら、核兵器の数は一向に減らずむしろ拡散してしまい今日を迎えています。広島市立大学広島平和研究所監修「なぜ核はなくならないのかII」(法律文化社)では、11人の著者がこのような現実について分析を加え論じています。

その中で、ロバート・ジェイコブズ広島市立大教授は米国社会が「ヒロシマ」をどうとらえているかについて言及しています。まず、原爆が落ちていなければ第二次大戦は継続され100万人以上もの犠牲者が日米双方に出たという見方が大方を占めているということ。原爆直後の広島の悲惨な状況を見て米国市民は「ヒロシマ」と言う言葉を自戒の意味としてよりも「核兵器に対する恐怖」と同義にとらえるようになったこと。ソ連が核兵器を保有するようになり米国の都市が「ヒロシマ」と化さないように核保有が正当化されていったこと。などを指摘しています。

また、この本の編者でもある水本和実氏は日本の状況について、そのような米国の核抑止力に頼る安全保障政策を進め、近年は北朝鮮や中国、テロへの対策として一層その傾向を強めていること。そのために外交方針としても「現実的な実践的アプローチ」をとるようになったことを指摘しています。
事実、先日採択された国連の核兵器禁止条約に対し「核保有国と非保有国の溝を深める」として反対の立場を示しました。

--☆---★---☆---★---☆---


各国の思惑によりなかなか進まない核廃絶ですが、それでも日本国憲法が掲げる理想に基づき、この平和宣言が求めるような「核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向けて真剣に取り組む」ことを我々は課されているように思います。なぜなら被爆者が経験した悲惨な体験や願いは、各国の思惑や戦略とは全く別の次元で存在し続け、それを闇に葬ることは許されない立場にいるのですから。

日本国憲法
前文
~前略~
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、先生と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

広島市-平和宣言【平成29年(2017年)】
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1110537278566/