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お金を預ければ、預けるほどお金が減ってしまう。そんな前代未聞の銀行口座が誕生しました。でも安心してください。銀行が使う日本銀行内の当座預金だけに限った話。われわれが預けている銀行口座では適用されないようです。

政府は物価2%上昇を目標を達成するために、企業が投資を増やし国民の所得が増加するように金融緩和政策を進め、市中に出回るお金の量をどんどん増やす政策をとってきました。ところがこのところの原油安や中国の経済不安に端を発し、企業や家計の心理が悪化することを懸念し、遂に前述のウルトラC的な「マイナス金利」という政策をとるに至りました。

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日銀が、市中に出回るお金の量を増やそうとする場合には、金利を下げるほかに、銀行に利用させる当座預金の金額を増加させる、市場にある国債などを買い集めるといった方法があります。これを量的緩和と呼びますが、市場に出回る国債が減りこの手法に限界が来るのではという見方が出てきており、これを払しょくする意味もあり再び利下げに踏み切ったようです。

しかし、こうした金融政策は、利子率を下げても投資がそれほど増えるわけでもない状況では効果が薄いとされています。そのような状況にある現在、金利も「マイナス」にまで下げなければならないところまで追いつめられているとも言えそうです。

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このマイナス金利には、銀行の収益力が落ち、リスクの大きい中小企業向けの融資などが抑えられるという副作用も考えられると指摘されています。
日本経済が本当に力強さを取り戻すまでにはまだまだ厳しい道のりが待っているようです。

日本経済新聞 1月30日(土)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF29H1C_Z20C16A1MM8000/