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「大空は交易で賑わい、空飛ぶ魔法の帆を持つ商船隊が往き交い、茜色の夕空を舵取りに導かれて、高価な品々を荷下ろしするのを見た。」「阿鼻叫喚が大空を満たすのを聞いた。所詮の艦隊がおぞましい災いの露を降り注いだ。碧天のただ中、鉤錨引掛け合う空の海戦だった。」~中略~「そしてついに戦の太鼓の轟は止み、軍旗が巻き収められて、人類の議会、世界の連邦政府が誕生するのを見た。」

これは1837年に書かれたイギリスの詩人アルフレッド・テスニンによる長編詩で、国際協調の理想を掲げて結ばれており、国際連合の創立に尽力したトルーマン大統領も大きな影響を受けたといわれる詩です。

しかし、現在のイギリス・アメリカの両国は、世界全体の国際協調の路線からはずれ、27日に行われた首脳会談ではともに「自国第一」を唱え、世界秩序の安定に影響を与えることが懸念されています。

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国際協調主義は、経済的にもその構成員を「相互依存の状態」にしておく必要があるとされ、第二次世界大戦後の世界秩序を考える際に、大戦による自由市場体制の崩壊が政治不安と過激思想を生んだことを踏まえて、経済制度を構築してきたことにも生かされています。

国際協調主義という概念は、実は18世紀初頭ごろから明確に学説などに表れてきています。しかしその後、国際連盟などの統治機構が現実化しながらも、成功を収めるには至らず、人類は二度にわたる世界大戦を経験しなくてはならなりませんでした。第二次世界大戦後70年あまり国際社会は協調路線を保ち、世界規模の紛争を免れてきたわけですが、今それが揺らぎ始めているといえます。

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日本国憲法前文にもこの理念は記載されており、先の大戦の反省が色濃くにじみ出ています。我々人類は大規模な戦争を繰り返すたびにその悲惨さは筆舌に耐えがたいものとなっており、次に同様な事態に陥れば人類世界に終止符が打たれるといっても決して大袈裟なことではありません。国際社会が相互に依存しながら秩序を維持するよう努力しなければならないのは言うまでもないことです。

日本国憲法前文 第三項
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本経済新聞 1月29日(日)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H5H_Y7A120C1MM8000/