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 すぐに本棚がいっぱいになってしまうために、普段マンガ本を買うことはほとんどないのですが、この本はいてもたってもいられずに思わず書店に買いに走ってしまいました。

もうすでにご存じの方も多いかと思いますが、昨年11月から公開中で、あまちゃんで好演した女優のん(能年玲奈)が主演声優を務めたことでも有名になった同名の映画の原作本です。

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11月末に映画の方を先に観てきました。
舞台は、戦時中の広島、呉。昭和19年、19歳で広島から呉に嫁いできたすずが、物がない中でも毎日を工夫して過ごしていく日常の様を描いた作品。画風もとても柔らかなタッチであたかも平和な世の中にあるような日々が続いていきます。しかし物語が後半に進むにつれ、私たちが知っているような歴史の渦に必然的に巻き込まれていき、すずの周りで起きる衝撃的な出来事に胸を打たれずにはいられませんでした。

原作本は、上・中・下の3冊に分かれており、読み進めていくと映画には盛り込まれなかったエピソードもいくつかあることに気づきますが、全体のストーリーに違いはありません。枠外にそのエピソードに関する注釈が事細かに書かれており、非常に綿密に取材をされて書かれていることが分かります。だからこそ、この物語がこれほどリアリティを持って多くの人の心を揺さぶっているのではないかと思います。

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現在、原作本の方は上・中まで読み終えて下巻を読み始めているところなのですが、これから起こる出来事を知っているが故に胸騒ぎを抑えられずにはいられません。しかし、逆に言うとすずたちのように当時この時代を生きた人々はその後起こることなど知りようもなかったわけで、今私たちが平和の裡に生きていることの意味を突き付けられているように感じてきます。

映画や原作を観たという多くの人が評しているように、非常に良い作品ですのでぜひ見ていただきたいと私も思います。

この世界の片隅に [作]こうの史代 双葉社
上・中・下 定価(各648円+税)