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 私は鉄道旅が好きで、青春18切符を片手によく鈍行で遠くまで出かけたりします。先日帰省した際も各駅停車にゆられながら横浜との往復の旅を楽しんできました。鉄道旅の良さは何と言ってもゆっくりと本を読むことができること。と、いうことで年末年始で読んだ一冊を本棚に追加。

この本を読もうと思ったきっかけは、「モノを買う」という現代の生活において最も基本的な行為でありながら、どのようにして現代のようななんでもすぐに手に入る社会が築かれているのかを知りたいという素朴な疑問からでした。 

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この本は、大学の講義にも使われていそうな構成で、前半の第1章~10章までは小売業・卸売業の役割から、流通において通説となっている基本的な理論を解説しています。後半の第11章~15章では現在の流通業を取り巻く環境から、業界にどのような役割が求められているかの提言が示されています。

とくに後半部分で強調されていたことは、これまでは商品を売ることに注目が集まっていたがこれからはそれがどのように消費されるかまでを提案することが求められているということ。すなわち消費者の視点からどのようなものが求められ、それに適した流通システムを構築することが大切であるということです。

流通業は消費者に最も近い存在であり今後もその主導権を握っていくことが予想されそのチャンスを生かしつつ、買い物弱者対策、中心市街地の再整備、品質・安全に対するアフターサービス、情報倫理・マーケティング倫理の遵守が求められていると述べられています。

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単に、物欲を満たすためではなく、健全で文化的な生活を維持するためにどのようなモノやそれに付随するサービスが必要なのか、それを考え抜いた企業こそがこれからの社会に必要とされるということかと思われます。

ベーシック流通論 [編著]井上崇通・村松潤一  同文館出版
ISBN978-4-495-64751-3 定価(本体2,500円+税)